同アワードで、日本カーメーカーの中で唯一、デザインとアーバンカーの2部門でトップ3に残ったスズキ・ジムニーは、強力な韓国のライバル勢ヒュンダイAH2、キア・ソウルをおさえ、わずか2点の差ながら、「ワールド・アーバンカー」部門のトロフィーを獲得した。
日本から飛んで来た会場で、期待を隠せなかったスズキ四輪商品第二部チーフエンジニア・米澤宏之氏は、「勝者はジムニー」と発表された時、嬉しさのあまり、大きな声をあげた。
550人の来場者を前に、「今年は3回目のトップ3入りでしたが、ついにアーバンカー部門の受賞ができて非常に嬉しいです。スズキは50年にわたってジムニーを作り続けてきました。今回の受賞は、世界中のジムニー・ファンにとって、大きな喜びです。このトロフィーを早く日本に持って帰りたいです」と、緊張しつつも英語で受賞の挨拶をした。
アメリカには、スズキの四輪部門がないことを考えると、これは大勝利と言うしかないと思う。会場にいた選考委員の声を聞くと、「道のりは長かったけど、スズキがついに受賞して良かった。この勝利に値するね」と納得の声が多かった。
ジャガーが史上初の快挙
またアワードでは、EVのクロスオーバー、ジャガーI-PACEが、最高賞である「ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー」に加え、「ワールド・カー・デザイン」「ワールド・グリーン・カー」と見事3部門を受賞した。これはアワード15年の歴史で初の快挙だ。
会場のジャヴィッツ・センターに駆けつけたジャガーのチーフ・デザイナー、イアン・カラム氏は、三つ目のトロフィーを手にしてこう言った。
「ハットトリックが取れるとは夢にも思いませんでした。やはりEV時代の到来が確実だと言えます。私は子供の頃、キャブ・フォーワードのクルマをデザインしたかったけど、このEVパワートレーンのおかげでそれがついに作れるようになりました。大きなエンジンをフロントに載せなくても良くなったので、こんなに綺麗なデザインができたと確信しています。また、それがデザイナー達に冒険の余地を与えてくれました。私が20年もかけて結成してきたジャガーのデザインチームに『ありがとう』と言いたい」
ちなみに、I-PACEの航続距離は、世界のWLTPの数値で467kmにはなっているが、アメリカのEPAが設定した377kmの方がリアルワールドの航続距離だと思われる。
アワードではそのほか、24か国からの86人の選考委員たちの投票によって、「ワールド・パフォーマンス・カーは」はマクラーレン720Sが、「ワールド・ラグジュアリー・カー」はアウディA7がそれぞれ受賞した。
スズキの勝利から言えることは、つまり、ジムニーは日本以外の国々での人気度と支持率が非常に高く、この手の超小型の強力なオフロード車の需要が相変わらず強いと言うことだ。スズキ・アメリカのマネージャーも「アメリカに投入してくれたら、かなり売る自信があるのに」と、残念そうに話していた。
また、ジャガーの三冠獲得は、市場で今まで問題とされた「電欠、インフラの足りなさ」などの課題を抱える電気自動車を、社会がだいぶ受け入れるようになってきたと言うことだ。あなたは、電気自動車に乗る心の準備ができていますか?
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