米国を次に襲う不況、過去の不況との違いは?

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では次に、米国の次の不況がどのようなものになるかを考えてみよう。2019年、あるいは2020年に不況が始まるとすれば、その原因となるのはFRBの過剰反応だろう。現在、FRBが大きな間違いを犯しているようには見えないが、リアルタイムで間違いを見抜くことはどんなに優秀な経済学者でも至難の業だ。

私が最も懸念しているシナリオは、FRBが2019年末まで金融政策を変えず、経済は堅調さを見せてインフレが進み、そこでFRBが取り残されたことに気づいて急ブレーキを踏む、というものだ。これが起きるのは2019年ではなく、20年や21年だろう。この可能性が一番高いと考えてはいないものの、私が最も懸念を抱いているシナリオではある。

世界経済の減退の可能性はあるが、これは通常、米国で不況を引き起こすほど深刻なものとはならない。1997年のアジア通貨危機の影響は米国ではほぼ感じられなかった。現在欧州では経済が弱体化し、ブレグジット(英国の欧州連合離脱)により多くの企業の計画が混乱しているが、米国から欧州への輸出はGDPの2.5%ほどとあまり大きくない。欧州での深刻な不況により米国の経済成長が減速することはあっても、それだけでは米国が不況にはならない。

金融危機も起こりそうにない。株式市場は現在、高騰しているように見えるかもしれないが、株価の下落がそれだけで不況の要因となることはない。金融危機は、投機が非常に多いときに起きるもので、今のところはそうは見えない。また、一部の悲観的な人々は住宅価格の高騰を指摘しているが、米国での住宅建設は人口増加により生まれたニーズと合致するものだ。

なので、私が一番あり得ると思うのは、FRBが過度に引き締めを行なった結果、不況が起きるというありきたりなシナリオだ。新たな住宅建設が最も打撃を受け、車の売り上げは落ち、企業の設備投資は下がり、消費者の裁量支出も減る。最初は市場の力によって、その後はFRBによって金利が下げられ、インフレは減速する。安定した収入を維持する一部の消費者と企業は、今が支出に最適な時期だと考え、特に金利の変化に敏感なものを購入する。そうなれば経済成長は全体に広がりを見せ、不況は終わる。
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編集=遠藤宗生

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