K-POPはなぜ世界で勝てるのか。BLACKPINKを手がけたプロデューサーが語る

シン・シティ/韓国のクリエイティブプラットフォーム 「AXIS」COO

シン・シティ/韓国のクリエイティブプラットフォーム 「AXIS」COO

日本には、定期的に「韓流ブーム」の波がおとずれている。

最初の波は2002年、ドラマ「冬のソナタ」から。次は、アーティスト「東方神起」に代表される音楽軸でのセカンドブーム。次に、音楽のみならずファッションやコスメ、グルメなどライフスタイル全体を巻き込んだサードウェーブ。そしていま、韓国新鋭クリエイティブプラットフォームAXIS(エクシス)が、Z世代をメインに巻き起こす新たな波、「Zウェーブ」を起こそうとしている。

トレンドマーケティングのFRIL lab(フリルラボ)の調査によると、20代未満~29歳女性が「ファッションで参考にしている国」の1位は韓国だそう。そのデータ通り、インスタグラムなど若年層がメインユーザーであるSNSには日々韓国の情報が投稿されている。また一般消費者のみならず、韓国カルチャーに影響を受けた日本国内の若手アーティストやクリエイターも増えている。

韓国カルチャーに熱心な若者たちがいま注目しているアーティストのひとつに、BLACKPINKがいる。先日行われた世界最大級の音楽フェス「コーチェラ・フェスティバル」にも出演を果たし、世界中から注目を集めているK-POPガールズグループだ。その人気ぶりを示すように、コーチェラでのステージ終了後、ツイッターの世界リアルタイムトレンドランキングの1位にBLACKPINKの名前があった。


コーチェラに出演したBLACKPINK(2019年4月12日撮影、Getty Images)

その彼女たちを手がけたのが、今回話を聞いたAXISのファウンダーであり、CCOのSINXITY(シン・シティ)氏である。シン・シティ氏は09年にYGエンタテインメントに入社。YGエンタテインメントとは韓国の芸能事務所で、BLACKPINKをはじめPSY、BIGBANG、2NE1、WENNER、iKONなど日本でも人気の高いアーティストたちが所属している。

シン・シティ氏は彼らのプロジェクトのビジネス面からクリエイティブまで様々な立場を約9年間担当したのち、18年に退任。NAVERからの出資を受け、同年にAXISを創業した。

ソウルで創業した同社は、18年6月に日本にブランチを設立。東京をアジア進出の1拠点とし、韓国カルチャーを世界に広めていくべく展開を開始した。これまで数々の人気アーティストを手がけ、日本でブームを巻き起こしてきたシン・シティ氏に、日本に拠点を構えることになった経緯、そしていま日本で巻き起こる韓流ブームについて話を聞いた。

──今回AXISはアジア拠点のひとつとして東京にブランチを設立しましたが、その意図は何でしょうか?

アーティストの日本展開はもちろん考えています。しかし、それだけではありません。ひとつは、AXISグループ全体のリソース拡大のため。もうひとつは、コンテンツ全体の強化のためです。

私は学生時代、2年間日本に留学していたことがあります。当時はちょうど「冬のソナタ」や、アーティストのBoAが日本中で大人気だったころで、もちろん韓国でも人気だったものの、日本での熱狂には驚かされました。
次ページ > 日本に韓国カルチャーが根付いたワケ

文=石原龍太郎 写真=小田駿一

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事