予測しきれない
「報酬」が期待できるとき、そして実際に報酬を得たときには、神経伝達物質のドーパミンが大量に分泌される。これは、サブスクリプション・ボックスを購入する動機の一つと考えられる。
心理学者バラス・スキナーの「オペラント条件付け」について考えてみて欲しい。この理論によれば、「報酬の不確実性」があるときには特に、正の強化(同じ行動を繰り返させること)が起きる。これは、ギャンブルのスリルと比較されることもあるものだ。
ギャンブルに関する研究が専門のチャールズ・リビングストン教授によると、私たちは報酬が予測できる場合にはすぐに関心を失うが、予測不可能な場合には、その報酬を得るための行動をやめられなくなる傾向があるという。
サブスクリプション・ボックスとギャンブル依存症は全く別のものだが、どちらも予測可能であるのと同時に、不確実性と一定の報酬が与えられるものだ。サブスクリプション・ボックスに入る商品はほとんどが、顧客特有のニーズと好みに基づき、その顧客のために選ばれている。
経験が重要
コンサルティング大手マッキンゼー・アンド・カンパニーが実施した調査によれば、サブスクリプション・ボックスの購入を続ける最大の理由として、調査対象者の28%が「パーソナライズされた経験」を挙げている。そして、その経験が良いと思わなかった顧客は、すぐに購入をキャンセルするという。
良い経験の定義は、サービスを提供する、またはターゲットとする顧客が何を期待するかによって異なる。だが、どのブランドにも共通していることが一つある。サブスクリプション・ボックスの成功は、全ての顧客がそれぞれに持つニーズを理解できるかどうかにかかっているということだ。