キャリア・教育

2019.04.18 17:00

自分らしさなんてわからない。それでも愛されまくるkemioの「病む力」

kemio(写真=小田駿一)


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コミュニケーションにルールはない。完璧なんて目指さない

僕は2歳のときに両親が天国に行ったので、祖父母が親代わりでした。小さい頃はディズニーや「ハイスクール・ミュージカル」など海外のエンターテインメントに夢中。その頃から「人前に出るお仕事」が僕の夢。いつかアメリカのエンタメ業界でやってみたいと思っていたんです。

高校生でVineを始めて芸能界の仕事も増えたけど、ぜんぜんうまくいかなくて。ヘイターは湧くし、1日で2万人とかフォロワーが減っちゃう日もあって、今思えばただの数字なのに、大切なことが見えなくなってた。そんな経験があって、もっと脳内チャージしなきゃと思い立ち、20歳になったある日、テキトーにANAのボーイングなんとか便で(笑)アメリカに乗り込みました。

今ではモデルやクリエイターとしてお仕事できて、英語でケンカできるようにもなったけど、コミュニケーションにはルールなんてないんだよねって思ってる。しゃべれない時には「Yeah!」とか「Hi!」とかノリでかわいがってもらえたり、すぐ仲良くなれちゃってたのに、最近は「これ言ったら失礼かな」とか頭の中でフィルターかかりすぎて、ただの静かな子で終わるときがあるんです。これ、もしかしたら、日本語も同じかもしれないなって。
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よく「語彙力すごいね」とか「ワードメーカーだね」なんて言ってもらえるけど、実は反対で、僕は語彙力がなさ過ぎる。だから、会話している時に「あ、この表現なんだっけ。出てこない。とりあえずこれとこれを組み合わせて、こんな感じで言えば伝わるかな。発射!」みたいに言葉をつくっちゃってるの。

もう工場ですね。会話の出荷に間に合わせなきゃ、急げ~。そんなワード工場を頭の中で日々経営しております(笑)。

幸せは狩りに行け! 一歩踏み出す時の不安は必須アクセサリー

ぶっちゃけ、わざわざアメリカに行かなくても、そのまま日本でそれなりにハッピーな生活を送れていたかもしれない。お仕事もあったし、収入もあったし、友達もいっぱいいたし、家族もいるし。だけど、自分のやりたいことに新しい一歩を踏み出すか踏み出さないかの差って、かなり大きいと僕は思うんです。

踏み出すには不安がつきもの。それはもう仕方がないことだから、一生とれない必須アクセサリーだと割り切って進むしかない。それに、不安の正体って、「失敗したらどうしよう」「自分にはできないんじゃないか」っていう、まだ起きていないことに対するものだから、Prepare=準備ってとらえればいいんじゃないかな。

フォロワーには「やりたいことが見つからないんです」という子もたくさんいるみたい。でも、僕、それはそれでぜんぜんいいと思ってます。自分だって、夢を探してドリーマーみたいな感じで、今の行動が最終的に何に着地するかなんてわからないですよ。

でもひとつ思うのは、やりたいことがないときに、立ち止まるのが一番ダメだということ。やりたいことがないのはぜんぜんオッケーだけど、自分が少しでも気になることや「いいな」と感じたことには、積極的に触れていかないと。どこで見つかるかなんてわからないんだから、ハッピーになるための狩りは一生続けてほしいですね。

あと、「なんか楽しいことないかな」とか「面白いことないかな」とか口だけで言ってる子たちは嫌いです。だって、自分がどんな時にテンション上がるかなんてわかるじゃん。「楽しい」「これが好き」って、自分がいちばんわかってるんだから、自分から探しに行けよって思う。待ち続けているうちに、人生なんて秒で終わっちゃうから。
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構成=松崎美和子 写真=小田駿一

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