高糖度ミニトマトを手掛ける農業スタートアップ「オーガニックソイル」(本社・東京都中央区、社長・中川英之)が、数量限定で自社の最高糖度の「OSMIC first」の販売を始めた。48粒で5000円(税別)。「ファーストクラス」という位置付けで、一粒ずつ区切られた箱詰めになっており、高級チョコレートのような佇まいだ。
2015年5月に設立したオーガニックソイル。多様な微生物を含む有機培土と、太陽光を利用した環境制御ハウスを独自開発し、植物工場の導入、栽培技術指導から販売、マーケティング、ブランディングまでをパッケージ化して、農業に新規参入する事業者をサポートすることで、全国各地で「OSMIC トマト」の生産を拡大させている。なお、5月1日より、商品のブランド名と同じ「OSMIC」へ、社名変更する。
「OSMIC」に社名変更し、今後の事業展開を発表した中川英之社長
注目すべきは、全国に広がる多彩な顔ぶれのパートナー企業だ。
記者発表会に合わせて開いたパーティーでは、中川社長が「設立から4年たち、苦しいことの方が多かったですが、ぶれずに美味しさだけを追求してきました」とあいさつ。下記のパートナー各社の代表らも出席した。
17年4月から千葉市緑区の「オスミックアグリ千葉」で「OSMIC トマト」の生産を開始し、18年6月には、同じ千葉市緑区で三菱地所と合弁会社「メックアグリ」を設立。すでに茨城県つくば市の「オスミックアグリ茨城」のほか、愛知県西尾市の精密機械加工「大野精工」もパートナー企業として生産しており、約2ヘクタールの面積で生産量は300トンだ。
さらに拡大すべく、阪急阪神グループの「ライフデザイン阪急阪神」が兵庫県姫路市で新たな生産工場を建設中で、三重県津市の三重交通グループの「三交不動産」や岡山県笠岡市の半導体洗浄機メーカーの「ジェイ・イー・ティ」もパートナーに名を連ねる。既存の工場の増設もあり、2020年3月には現在の3倍以上の約6ヘクタール、生産量1000トンに拡大するという。
これらの企業から、農業への異業種参入が目立っていることが分かる。
また中川社長はクリーンエネルギー事業を手掛ける「いちご株式会社」と資本業務提携を結び、「参加型の農業テーマパーク」を共同開発する構想も発表した。地方の耕作放棄地や遊休農地を新たなテーマパークに生まれ変わらせる。構想はこうだ。観光農園や貸し農園、有名シェフ監修のレストランやマルシェ、宿泊施設を併設し、グランピングもできるようにする。現在、複数の自治体と交渉中という。
記者会見を終えると、全国有数の産地出身のミニトマト好きな筆者が、パーティに潜入した。