ビジネス

2019.04.30

ウォルマートが先行する「カーブサイド・ピックアップ」の将来性

(Scott Olson/by Getty Images)

米小売最大手ウォルマートについて、「店舗が広すぎ、列が長く、駐車場が混んでいるので買い物には行きたくない。でも、商品の価格は魅力的」と思っているあなたのために、同社は解決策を編み出した──「カーブサイド・ピックアップ」サービスだ。

主に食料品を購入する顧客が利用しており、「クリック&コレクト」とも呼ばれるこのサービスは、米国内のウォルマート2146店舗で提供されている。顧客はオンラインで購入する商品を選び、店内を歩き回って品物をかごに入れるのは、ウォルマートの従業員だ。

オンラインで注文した商品を店頭で受け取る「ボピス(Buy Online Pickup In Store:BOPIS)」と似ているものだが、カーブサイド・ピックアップは車から降りる必要がなく、これまで以上に便利なサービスとなる。

金融サービス会社コーウェンのシニア・アナリスト、オリバー・チェンによれば、これは革命的なサービスだ。2020年には350億ドル(約3兆9000億円)規模の事業になると見込まれている。

競合するクローガーとターゲット、ホールフーズもまた、カーブサイド・ピックアップをさらに便利なものにするためしのぎを削っている。だが、各社の中でも一歩先を行くのは、無料でサービスを提供するウォルマートだ。2020年末までに、同サービスを提供する店舗を約3100に増やす予定だという。

クローガーは、ターゲットより1600店舗近く多くの店でこのサービスを提供している。だが、4.99ドルの手数料を取る。アマゾン・ドット・コム傘下のホールフーズが同サービスを提供するのは、わずか22店舗だ。プライム会員は無料で利用できるが、その他の顧客は30分後にピックアップできるサービスを選んだ場合で4.99ドルを支払わなければならない。

ウォルマートの同サービスを利用するには、受け取りの4時間前までに買い物を済ませる必要がある。また、午後4時以降に注文した商品の受け取りは、翌日になる。こうした条件はあるものの、チェンによると同社のこのサービスは、売上高を74億ドル増やす可能性がある。2020年には、オンライン販売の売上高の33%を占めるまでになるとみられている。
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編集 = 木内涼子

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