だが、米調査会社ウルフ・リサーチの最近の調査結果によれば、プライム会員のうちホールフーズで買い物をすることは「めったにない」または「全くない」と答えた人は、70%に上る。
「少なくとも月に1度は購入する」という会員は、わずか18%だ。一方、アマゾンのウェブサイトで「少なくとも月に何度か買い物をする」という会員は、65%だ。
アマゾンはホールフーズが取り扱う商品の値下げを行っている。だが、主に以下の理由から、会員たちを引き付けるにはそれだけでは不十分だと考えられる。
1. ホールフーズの差別化要因が消滅
米オーガニック・トレード協会によると、有機食品と食品以外のオーガニック製品の売上高は2017年、前年比6.4%増の494億ドル(約5兆5300億円)に上った。そうした中で、ホールフーズの主な競争相手は驚くべき変化を遂げている。
オーガニック商品の売上高では、会員制の大型スーパー、コストコが2015年、ホールフーズを追い抜き第1位となった。また、現在では大手クローガーのオーガニック食品のプライベート・ブランド(PB)「シンプル・トゥルース」が23億ドル規模に成長。アルディが生鮮食品の取扱品目を40%拡大する計画を打ち出すなど、各社が激しい競争を繰り広げている。
2. 帰るまでに「バナナが変色」?
米国内の店舗数は、ホールフーズが477、クローガーが2764だ(いずれも記事執筆時点)。つまり、多くの地域でプライム会員は、ホールフーズの店に着くまでに(その他の多くのスーパーの前を通過しながら)、ある程度の距離を移動しなくてはならない。
オンラインで注文し、商品を配達してもらうことできる、それでも近隣に店舗がないことが、予定外のちょっとした買い物に利用してもらえない原因になっていることは確かだ。
3. アマゾンと「共食い」
アマゾンがオンラインで幅広い商品を提供していることが、ホールフーズの競争力を損なっている可能性がある。米調査会社ワン・クリック・リテールの報告書によると、2017年に食料品のオンライン販売で最大のシェア(18%)を握っていたのはアマゾンだ。
また、報告書によれば、食料品はほぼ全てのカテゴリーで、オンライン販売での売上高を増やしている。それらの全てがオーガニック食品というわけではないが、限られた食費の一部は、それらに充てられている。