等身大ヒーローの決定版 「シャザム!」は大人が観ても楽しめる

映画「シャザム!」(c)2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.


変身の言葉である「シャザム!」は、「SHAZAM」という綴りで、ソロモン(Solomon)、ヘラクレス(Hercules)、アトラス(Atlas)、ゼウス(Zeus)、アキレス(Achilles)、マーキュリー(Mercury)という神々の名前の頭文字を連ねたものだ。そして、その魔法の言葉から転じて、ビリーはスーパーヒーロー「シャザム」として活躍を始めるのだ。
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余談だが、「シャザム」という主人公の名前は、現在のコミックの版元であるDCコミックスが1970年代に版権を取得したときに付けられた名前で、それ以前は「キャプテン・マーベル」と呼ばれていた。

アメコミに詳しい方なら周知のことと思うが、アメリカの二大コミック出版社はロサンゼルス(正確にはバーバンク)に本拠を置くDCコミックスと、ニューヨークが本社のマーベル・コミックだ。前者の代表的キャラクターはスーパーマンやバットマン、後者はスパイダーマンやキャプテン・アメリカだ。
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「シャザム」へと変わる前の「キャプテン・マーベル」は、1940年代に誕生したキャラクターだが、実はマーベル・コミックとは関係がない。DCコミックスが「キャプテン・マーベル」の版権を取得したとき、ライバル会社の社名と同じ「マーベル」を戴くヒーローの名前を変えるというのは、必然の選択であったに違いない。

今後重要なアメコミヒーローに?

そんな奇縁にも彩られたスーパーヒーローが活躍する「シャザム!」という作品だが、映画としてはマーベル・コミック陣営のスパイダーマンに当たると考えてもよい。どちらも妙に人間臭く、度々失敗もする。作品の中にコミカルな要素が入っているところも、相通ずるものがあると感じた。



また、少年少女たちが活躍する物語でもあるのだが、人物設定やストーリーなどもかなり練られており、大人が観賞しても充分に耐えうる作品になっている。とくに、物語の後半で展開される、クリスマスのカーニバルで賑わう遊園地でのアクションシーンは、ちょっとしたサプライズもあり、文句なしに楽しめる。

ハリウッドの映画界では、ワーナー・ブラザースが親会社であるDCコミックスと、ウォルト・ディズニー・カンパニー傘下にあるマーベル・コミックのスーパーヒーローたちの作品が、これからもしのぎを削る闘いを続けていくと思われるが、等身大ヒーローの極め付けである「シャザム!」が、そのなかでも、今後、重要な位置を占めていくに違いないと、筆者は考えている。

連載 : シネマ未来鏡
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文=稲垣伸寿

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