ビジネス

2019.04.17

米国で続く「店舗閉鎖」が大問題ではない理由

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店舗の閉鎖によって多大な影響を受ける人たちには、当然ながら家主たちがいる。米国内ではほぼ全ての地域で、面積当たりの小売スペースの価値は3年前より下落している。

家主らがこの事実を受け入れるまでには、時間がかかった。彼らが賃料の値下げに踏み切れなかったことが、国内各地にいまだ多くの空き店舗がある理由だ。だが、一部の家主らがようやく値下げを受け入れ始めると、浮かび上がり始めたのは新たな疑問だ。

店舗には、販売以外にも果たせる役割があるのではないだろうか?

面積当たりの賃料が安くなったのであれば、店舗は講演やデモンストレーション、講習会など、その他のイベントのためにスペースを使用できるのではないだろうか。例えば取り扱う商品に関連のあるイベントを開催した場合などには、消費者が店舗に足を運び、そして商品を購入することにつながるのではないだろうか?

商品の販売にとどまらず、小売業者がよりクリエイティブになることができるなら、可能性は無限大だ。店内のイベントスペースが、新たな収益源を生み出す可能性さえある。

こうしたことに必要になるのは、小売業者にこれまで求められてきたものとは異なるスキルだ。過去およそ25年間、小売業者は在庫を減らし、面積当たりの売上高を伸ばし、より安全な商品を取り扱うことで事業上のリスクを低減させることに力を注いできた。

だが、小売業がいま彼らに求めるのは、考え方を変え、たとえ試みる全てのことが成功するわけではないと分かっていても、適切なソリューションを見つけるための実験に取り組むことだ。

こうした環境に店舗を適応させていかないブランドは今後、店舗の閉鎖に迫られるだけでなく、事業を縮小させていくことになるだろう。一方、現在の世界の動きに適応することができた店舗は消費者の心を捉え、より少ない店舗数でより多くの利益を上げることができると考えられる。

編集=木内涼子

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