ビジネス

2019.04.17

米国で続く「店舗閉鎖」が大問題ではない理由

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米調査会社コアサイト・リサーチは先ごろ、今年4月上旬までに国内で閉鎖された店舗の数が、すでに昨年中に閉鎖された店舗数を上回ったとする調査結果を発表した。

これは大きなニュースだ。これまで小売業界の売上高と販売に利用できる面積の拡大・縮小には、常に相関関係が見られた。そして、その関係の変化は常に、経済情勢の先行きを占う明確な指標となってきた。米紙ニューヨーク・タイムズはこの調査結果を、経済面で大きく報じた。

だが、大量の店舗閉鎖が一体何だというのだろう? ここ数年の小売業界の変化は、販売と店舗面積の関連性をかつてないほど弱いものにしてきた。

店舗数の減少が販売できる商品数の減少を意味するのは確かだが、それは必ずしも、以前のように小売業界の状況を示すものではなくなっている。実際にここ数年で数万の小売店が閉鎖してきた一方で、売上高は増加してきた。

現在の店舗には、これまでとは異なる目的がある。インターネットやモバイルショッピングが普及する以前は、商品が置かれている場所は店舗であり、何かを買いたいときには店に行くものだった。だが、消費者は今、ほぼ全てのものをいつでもどこでも買うことができる。

店舗数の増加は古い指標となり、重要性を失っている。店舗の未来は、それをどう使うかにかかっているのだ。

「店舗」の未来

店舗はこれまで自らが存在してきた環境の外に出ていかなければならない。そして、消費者がいる場所に行き、そこで彼らを魅了しなくてはならない。常に消費者が足を運んでくれることを要求するわけにはいかない。

小売業はいまや、より複雑でリスクを伴うものに変化している。成功するためには人材と財務の両面で、より多くのスキルと資本が必要になる。
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編集=木内涼子

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