彼らは消費者が過去に例を見ないほどの量のコンテンツを楽しむようになり、ディズニーはエンターテインメント業界の優れたブランドや映像製作会社を傘下に収める必要があると説いた。
「ディズニー2015」と銘打ったこのプレゼンテーションを作ったのは、当時のCFOのTom Staggsとコーポレート・ストラテジストのKevin Mayerだった。それから12年後の2018年、ディズニーは世界で最も価値のあるメディア企業の座を、ネットフリックスに奪われた。
ディズニーは2006年の「ピクサー・アニメーション・スタジオ」の買収を皮切りに、「マーベル・エンタテインメント」、「ルーカスフィルム」、「21世紀フォックス」を次々と傘下に収めた。
ディズニーが今年、新たに開始する映像配信サービス「Disney+」は、これらのブランドや製作会社がベースとなっている。Disney+の全米ローンチは今年11月12日。その後、2019年末から2020年初頭にかけて西ヨーロッパとアジア太平洋地域でもサービスを始動する。価格は米国では6.99ドルとされている。
アナリストらは、ディズニーが保有するヒット映画や人気TV番組に、最近買収した21世紀フォックスのコンテンツが加わったことで、ネットフリックスやAmazonプライムビデオに十分対抗できると考えている。
米国内の歴代興行成績では、上位100作品のうち47作品をディズニーと21世紀フォックスが占め、2位のワーナー・ブラザース(20作品)の倍以上の実績を誇る。IMDBによる人気TV番組上位100でも、ディズニーと21世紀フォックスが最も大きな割合を占めている。
ディズニーは今後、ピクサーやマーベル、スター・ウォーズの新作を、ストリーミング限定で配信する予定だ。その中には、スター・ウォーズの実写TVドラマシリーズ「The Mandalorian」や、「モンスターズ・インク」のTVアニメ版などが含まれる。
「ディズニーと21世紀フォックスの融合により、他に類を見ない、素晴らしくて記憶に残るコンテンツが生まれるだろう」とメディアアナリストのMichael Nathansonは話す。
Nathansonは、Disney+の加入者数が初年度で710万人に達し、2022年度末までに2400万人に近づくと予測する。
技術力でもネトフリに勝てるか?
コンテンツ企業であるディズニーの課題は、ネットフリックスの高い技術力に対抗することだ。ネットフリックスは、膨大なデータを活用して1億3900万人の有料会員にコンテンツをレコメンドし、大きな成果を挙げている。
ディズニーは、過去にもストリーミングサービスを立ち上げて失敗している。同社は2015年に英国で「DisneyLife」という、月額10ドルで400以上の映画と4000以上のTVシリーズ、歌、本などを楽しめるサービスをリリースしたが、値下げをしても思うように会員を増やすことができなかった。
ディズニー会長のボブ・アイガーは、Disney+を「我々にとっての最優先事項」と述べている。