欧州でスタートアップ立ち上げに最適な場所は?

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成功を広めるには

ただEIDESの報告書では、スタートアップを国内、さらには欧州全体に広める上で大きな課題が残っていることが示されており、特に東欧諸国が西欧に後れを取っている。

マギル大学の研究チームは最近、小さな町や田舎のコミュニティーでどのようにイノベーションを発展させることができるかを調査した。チームは、スイス東部の5つの小さな町に拠点を置き成功を収めた7つのハイテク企業を分析した。7企業はいずれも、それぞれの分野における世界のリーダー的存在であり、研究チームはこれら企業が多様性に欠けるコミュニティーでビジネスを行なっているにもかかわらず、成長しつつイノベーションを実現できる理由を探った。

チームは「多様性にはさまざまな次元があり、その一部は都市部の人口密集に関連したものではない」という仮説を立てた。チームが特定した、多様性を増やすための3つの次元は次の通りだ。

・従業員

各企業が導入した戦略の1つ目は、多様な従業員を集めることだった。地元コミュニティーが比較的均質なため、会社の採用ネットワークを広い範囲に拡大し、スイスや国外の大都市からの人材登用が必要とされることが多かった。

・開放的な文化

2つ目の戦略は、従業員がチームの垣根を超えて交流することが奨励される開放的な文化作りだ。研究チームは、こうした文化は会社が拠点とする「小さな町」の雰囲気を多くの意味で反映するものだと指摘している。

・外部のネットワーク

3つ目の中核的戦略は、多様な知識の源にアクセスできる広範な外部ネットワークの構築だ。これらは顧客や大学、会議から得られることが多い。地元以外の場所から知識を得ることがビジネスにとって重要だということを、企業は十分認識しているのだ。

ブレグジット(英国のEU離脱)などが間近に迫る今、研究チームが地方部での起業の成功に欠かせないものとして特定したつながりは軽視できない。欧州全体で起業を促すには、北欧諸国からの教訓に耳を傾け、つながりと開放性をできる限り奨励・支援するのが得策だろう。

編集=遠藤宗生

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