結婚した人は、いまだに勝ち組なのか?

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先日、友人の女性が結婚相談所に登録に行った。私の友人は30代前半、非常に仕事ができ、会社の上司からも一目置かれている。多趣味で週末も常に忙しく、出会いの機会がないため結婚を前提とした伴侶を探すべく相談所の門を叩いた。

しかし、結婚相談所から言われた言葉は、「30歳オーバーという年齢がネック」「女性としては年収が高すぎる」……。彼女は落胆して帰ってきたという。その友人になぜ結婚したいのかたずねると、「親を安心させたい。同年代の知人がどんどん結婚しているから負け組になりたくない」と答えた。

「結婚しないの?」「子供はまだ?」──確かに30歳を過ぎて独身だと、親戚や家族にも聞かれるようになり、盆休みや正月の帰郷もいささか億劫に感じる。また、このような質問を職場で誰彼かまわず聞いて回ることがセクハラのひとつとして認識されるようになってきた。それでもなお、相変わらず社会の独身者への結婚のプレッシャーは強いのか。

結婚しない人は負け組なのか? もはや独身であることは少数派ではない。人の幸せの価値判断こそ人それぞれである。結婚は「するべき」義務ではなく、選択する時代になったと私は思う。勝ち組は結婚の有無にかかわらず存在するはずである。

もはや結婚は急いですることではなくなってきている。晩婚化は確実に進んでいる。2015年の厚生労働省の人口動態統計によると、日本の平均初婚年齢は男性が31.1歳、女性が29.4歳で、5年前の2010年と比べると、男性も女性も平均+0.6歳、初婚が遅くなっている。1995年当時は平均初婚年齢は男性が28.5歳、女性が26.3歳であり、男女ともにこの20年で約3年ほど結婚することが遅くなっているようだ。

となると男女とも、おおよその初婚年齢はアラサーになるわけだが、2015年の総務省の国勢調査によると30~34歳では、男性はおよそ2人に1人(47.1%)、女性はおよそ3人に1人(34.6%)が未婚である。

結婚する人も確実に減っている。厚生労働省の人口動態統計によると、婚姻率は0.49%(人口1000人に対して4.9人)となることが分かった。1970年前後のベビーブーム期と比較すると結婚する人は約半分になっている。

結婚する人が減っているのは日本だけ?

これは日本に限った傾向ではない。下記のグラフのように、イギリスやアメリカ、韓国も20年前と比較すると確実に結婚する人は減っている。オランダやフランスのように結婚に関する価値観が日本と異なる国では、民法がキリスト教的倫理観に基づいて成立したという経緯もあって、結婚を宗教的と考え事実婚を選択するカップルも少なくない。

結婚というかたちをとらず、出産し子供を一緒に育てるカップルも多い。初婚年齢もOECD諸国の中では日本は高い方から数えて26番目だ。男女格差がもっとも小さい国アイスランドや北欧諸国の女性の初婚平均年齢はいずれも30歳を超えている。


婚姻率と離婚率の年次推移 -諸外国との比較(引用:厚生労働省「平成30年 我が国の人口動態」)
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文=蓮見勇太

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