同社の前澤友作社長が2019年2月に「いまお店で約1万円くらいで売られている洋服の原価がだいたい2000~3000円くらいだということを、皆さんはご存知ですか?」とツイートして大炎上したが、大した問題ではない。むしろ同社のビジネスモデルが、曲がり角を迎えているのだ。
もちろんこれはZOZOだけの問題ではない。アパレル業界全体が厳しい「地殻変動」に直面しているのだ。この激変を引き起こしているのは、言うまでもなく電子商取引(EC)である。日進月歩のEC革命は、既存のリアル(実)店舗業者だけでなく、ZOZOのようなEC専門業者すら濁流に飲み込む勢いで突き進んでいる。
果して「地殻変動」に見舞われているアパレル業界で生き残るのはどこか?「アパレル・サバイバル」(日本経済新聞出版社刊)を上梓した齊藤孝浩ディマンドワークス代表に聞いた。
「自分でモノを確認できるネット通販」が主流に
──アパレル業界の「覇者」が百貨店からセレクトショップ、ファストファッションと目まぐるしく入れ替わり、今やネット通販に代表されるECの存在感が増しています。
齊藤:アパレルは今もモノを自分の目で確かめて購入する商品が主流。100%ネット販売に依存しているアパレルユーザーも増えてはいるが、せいぜい全体の10~15%といったところ。まだまだ少数派で、未開拓の市場といえる。今後はリアル店舗のようにモノを確認できる仕掛けをした企業が大きな収益をあげることになるだろう。
──自分でモノを確認と言っても、ネットでは限界があります。
齊藤:必ずしも実物を手にとる必要はない。たとえば「このブランドは知っている」とか「実店舗で見た」とか、「あのタレントや読者モデルが着ている」という情報だけでも、ある程度モノの品質感とかサイズ感などを把握できる。実際にネット通販ユーザーの多くは、そうした情報ももとに購買行動を決めている。