グーグルが出資の「魔法のリストバンド」企業、CTRL-Labsの実力

(c)CTRL-Labs

神経科学の成果を応用した、ニューロテクノロジー系のスタートアップが「CTRL-Labs」だ。ニューヨークに本拠を置く、同社の共同創業者で主任サイエンティストのPatrick Kaifoshは現在31歳で、フォーブスの「30アンダー30」の選出歴を持つ。

彼は長年、コンピューターと人との理想的な関わり方について研究を進めてきた。

「現代人はラップトップやスマホなど、様々なツールを用いてテキストを入力しているが、私はスマホで文字を書くのが遅いのを不満に感じていた」とKaifoshは話す。

CTRL-Labsは脳が手に送り出す信号を読み取るリストバンドを開発し、新たなコントロールデバイスに仕上げようとしている。脳波を入力デバイスに活用するアイデアは以前からあるが、この分野の企業の大半は、頭に装着するヘッドバンド型の装置を開発中だ。

しかし、CTRL-Labsは脳から手や指先に送られる信号を検知するリストバンドを開発し、既存のスタートアップとは異なるアプローチで、脳波を活用しようとしている。同社は、競合よりも直感的に使える入力装置の開発を目指している。

CTRL-Labsはユーチューブ上に公開した動画で、このリストバンドを用いて、定番のシューティングゲーム「Asteroids(アステロイド)」をプレイする様子を公開している。

リストバンドを用いるメリットについて、コロンビア大学でニューロサイエンスを学んだKaifoshは、手首のほうが正確なデータを得やすいと述べる。彼の説明によると、頭部に電極をつけてニューロンの活動を読み取る場合、人によって得られるデータが異なるという。

対照的に、手の筋肉に司令を出すニューロンであれば、整理された信号を読み取りやすいという。「手の筋肉のレイアウトは、どんな人でも共通であるため一貫性のあるデータを取れる」とKaifoshは話した。

CTRL-Labsは既に投資家から大きな注目を集め、今年2月にはGV(旧グーグルベンチャーズ)が主導する資金調達ラウンドで、2800万ドル(約31億円)を調達した。これまで累計6700万ドルを調達したCTRL-Labsの出資には、アマゾンのAlexaファンドをはじめ、Spark CapitalやMatrix Partners、Lux Capitalも参加している。

新たな資金を用い、CTRL-LabsはSDKの開発を進め、外部の開発者に公開する予定だ。また、サンフランシスコのオフィスを拡大し、外部企業との提携も視野に入れている。

Kaifoshは今後、外部のデベロッパーや企業とコラボを進めることで、個別のニューロンの動きを正確に拾えるリストバンドの開発を目指している。これが実現できれば、手首につけたリストバンドだけで、日常的に使う全ての電子デバイスの操作が可能になる。

「究極的には、全てのテクノロジーを操作可能な、万能なコントローラーの実現を目指している」と彼は続けた。

編集=上田裕資

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