次世代の「火災保険」を生むデータ解析企業、Cape Analyticsの挑戦

rocco constantino / shutterstock.com

カリフォルニア州では毎年大きな山火事が発生し、州は危険地域の住民に、家屋と山林の間に100フィート(約30メートル)の安全エリアを設けるよう勧告している。この分野で活躍が期待されるスタートアップ企業が「Cape Analytics」だ。

同社は空撮画像の解析により、家屋の山火事被害リスクを査定する。マウンテンビュー本拠のCape Analyticsは4月3日、マシンラーニング技術を用いた画像解析で、家屋の火災リスクを査定する新たなプロダクトをリリースした。同社はこのツールを保険企業に提供し、家のオーナーらが適切な対策を行えるようにする。

業界団体のInsurance Information Instituteによると、2018年にカリフォルニア州では、2万5000軒の家屋が山火事の被害に遭い、100人近くが亡くなった。火災保険の補償額は2019年に90億ドル(約1兆円)以上になると見込まれる。

Cape Analyticsは航空機による空撮画像を解析し、リスク判定を行う。保険企業はこのデータで、個別の家屋だけでなく地域全体のリスク査定を行うことが可能だ。

Cape Analyticsのツールは6センチの解像度を誇り、山林の密度を詳細に把握可能で、予測される火災の規模も算定可能だ。

同社でリスクマネジメントを担当するKevin Van Leerは「解析プロセスを合理化し、顧客らが戦略的にリスクに備えることを可能にする。当社は保険企業に有用なデータを提供し、人々の火災の被害リスクを軽減する」と述べた。

2014年に設立のCape Analyticsは当初、空撮画像を解析し、家屋の屋根の画像データをAPIで提供するサービスを開始した。このデータで保険企業は、修理が必要な家や、木の枝が家屋にダメージを与えるリスクを知ることが可能だ。フロリダ州で始動したこのサービスは、既に全米の家屋を対象としている

Cape Analyticsは昨年6月に1700万ドルのシリーズB資金を、ベンチャーキャピタルのPromus VenturesやData Collective、さらに保険企業のHartford やCincinnati から調達していた。同社の累計資金調達額は3100万ドルに達している。

調達資金によりCape AnalyticsはAI(人工知能)によるデータ解析技術を磨き上げ、今回の火災リスク査定ツールを生み出した。

「当社のデータを提供することで、保険企業らの次世代のサービスを送り出す試みを支援していきたい」とVan Leerは話した。

編集=上田裕資

ForbesBrandVoice

人気記事