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2019.04.29

世界の著名投資家が支援する新興スタートアップ、注目の4社

Singkham / shutterstock.com

かつてはSF映画の出来事と思われた未来的テクノロジーが、現実のものになろうとしている。

フォーブスは4月2日、世界で最も影響力の高い投資家ランキング「Midas List」の2019年版を発表したが、そこにあげられたメンバーの多くが、未来的なスタートアップ企業に多額の資金を注いでいる。ここではその代表的な企業を4社、紹介する。

ロケットラボ(Rocket Lab)
累計資金調達額:2億8800万ドル(約320億円)
主な投資家:ビノッド・コースラ(コースラベンチャーズ創業者)

宇宙ロケット分野においては100年近くの間、様々な企業のイノベーションが進んできた。今年のMidas Listに選ばれた、コースラベンチャーズのビノッド・コースラらが支援する「ロケットラボ」は、21世紀的なアプローチでロケット技術を発展させている。

多くのロケット企業は1カ所の工場で部品の製造から組み立てまでを行うが、ロケットラボは別のアプローチでロケットの量産化を実現した。同社はエンジンやパーツの製造をロサンゼルスで行い、それらの部品をニュージーランドの発射場のそばの組み立て工場に送り、競合のスペースXよりも高い頻度で打ち上げを行っている。

ロケットラボの小型ロケットは、今後の巨大な成長が見込める小型衛星の打ち上げに特化している。

Ginkgo Bioworks
累計資金調達額:4億2900万ドル
主な投資家:Aydin Senkut(Felicis Ventures創業者)

2008年にマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者らが設立した、ボストン本拠の「Ginkgo Bioworks」は、シリコンバレーのIT企業がプログラミングを行うような手法で、新たな微生物を生み出している。

同社は合成DNA技術を活用し、独自の働きをする細胞を企業に提供し、新型の肥料や香水などの開発を支援している。

Ginkgoからは2つの企業がスピンオフした。ドイツのバイエルと共同で、新型の肥料を生み出す企業Joyn Bioと、遺伝子操作をした酵母菌で代用肉を生み出すスタートアップのMotifだ。Motifは代用肉で有名なインポッシブルと類似した企業として知られている。

Affectiva
累計資金調達額:5400万ドル
主な投資家:メアリー・ミーカー

AI(人工知能)は様々な領域で人類の暮らしの一部になりつつある。ボストン本拠の「Affectiva」は人間の顔の表情から感情を読み取るテクノロジーで、次世代のAI技術をもたらそうとしている。同社はまず広告領域にこのシステムを投入し、グーグルグラス的なデバイスに用いるアプリで、自閉症の子供が感情を読み取ることを支援しようとしている。

Affectivaは自動運転領域への進出も進め、AIが車のドライバーが十分な注意を払っているかを測定する機能を実現する計画だ。同社の創業者のRana el Kalioubyは、2018年のフォーブスの「テック業界の女性50名」にも選出されている。

Cobalt Robotics
累計資金調達額:5250万ドル
主な投資家:アルフレッド・リン(セコイア・キャピタル)

オフィスを警備する警備ロボット「コバルト」の開発元として知られるのが、カリフォルニア州サンマテオ本拠の「Cobalt Robotics」だ。コバルトはカメラやマイク、温度センセーを搭載し、マシンラーニングを通じた学習で不審者を発見する。

事件につながる不審者を発見した場合、アラートで警備チームに通報する。Cobalt Robotics創業者のErik Schluntzは2018年のフォーブスの「30アンダー30」に選出された。

編集=上田裕資

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