キャッシュレス社会に必要なのは、ユーザーの「感動体験」だ

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Apple Payがローンチされてから2年が経ち、今では朝の情報番組でもキャッシュレスのニュースが取り上げるほど、ペイメント業界以外の方にとっても身近になってきているのは間違いないでしょう。

つい先日、電車に乗っていると高校生同士がPayPayについて話をしていました。高校時代に現金以外の支払い方法について会話をすることなどありませんでしたから、それほど現在のペイメント業界の変化が日常に近いところで起こっているんだなと感じた出来事でした。

キャッシュレス社会実現のために求められる「感動体験」とは

政府は、2025年には、日本のキャッシュレス比率を40%に引き上げるという目標を掲げています。この目標を達成するために、お得さや利便性を追求した新たなサービスが日々検討されていますが、私個人としては、前述の2点とともに”体験”についても忘れてはならない要素だと感じています。

お金を使うことは手段であって、目的ではありません。目的を達成するためにお金を使うのであって、単純にお金を使いたいだけの人はあまりいないでしょう。例えば私の場合、数10%の還元がされたとしても、アプリ起動〜認証をする手間を面倒と感じてしまい、Apple Payで支払いをしてしまいます。

Apple Payの場合は、顔もしくは指紋認証だけですみますので、手間がかからず、再度ログインすることもありません。また、私はオンラインショッピングではアマゾンを使います。今ではアマゾン以外のECサイトも商品をすぐに届けてくれるようになっていますが、一度アマゾンで配達の速さを体験してしまってからは、目的の商品が見つからないこともないため、継続的に使っています。

完全にGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)の支払体験に魅了されてしまっている私ですが、GAFAでなくても、感動体験を与えることは可能だと思いますし、これを実現できるのは、決済サービスを提供する決済業界側のプレイヤーではなく、消費者に最も近い位置にいる小売業だと思います。

小売業界がキャッシュレス決済により得られるデータを活用し、売り手ならではの体験を消費者に与えることによって、お店のファン拡大に繋げることが可能となり、必然とキャッシュレス決済が拡がる──開発者としては、そんな道づくりに貢献していきたいと思っています。

文=鈴木翔一朗

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