中国のガジェット新時代を担う「30歳未満」起業家たち

(Justin Sullivan/ by Getty Images)

フォーブスが4月1日に発表したアジア版「30アンダー30」には、様々なガジェットのアイデアを形にした、30歳未満の若手起業家たちが選ばれた。ここでは中国からリスト入りを果たしたメンバーを紹介する。

上海に本拠を置く「Cowarobot」は2015年に設立の企業で、自動運転車の開発を目指してスタートした。同社は今も自動運転車の開発を諦めていないが、基礎的な自動運転のテクノロジーを「自走式のスーツケース」というアイデアに発展させ、プロダクトとして市場に送り出した。

同社の共同創業者のLiu LiyuanとLiao Wenlongらは今年の「30アンダー30」アジア版の製造業&エネルギー部門に選出された。2人は現在35歳のCEOのHe Taoと共にCowarobotと設立し、これまで累計5000万ドル(約56億円)を調達した。

同社は日本のソフトバンクや北京のChina Creation Venturesらから出資を受けている。Cowarobotが投資家から注目を集めたのは、今年のCESでも話題を呼んだ「Rover」と呼ばれる自走式のスマートスーツケースだ。

中国国内では800ドル、その他の市場では899ドルで販売中のRoverはGPSとカメラを搭載し、持ち主の姿を認識して自動で追尾する機能を持つ。Roverの売上は昨年1年間で1万2000台に達した。

Cowarobotは自走式の街路清掃用ロボットや配達ロボットなども開発しており、50台の自走式ロボットを長沙市や成都市、蕪湖市などの都市で走らせている。

一方で、モバイルベースのVRツールキットを開発し、コンシューマーテクノロジー部門で選出されたのが北京本拠の「NOLO VR」の3人の共同創業者のZhang DaoningとZhang Jianing、Xu Chenらだ。

2015年創業の同社は「NOLO CV1」と呼ばれるVR用向けモーショントラッキングシステムを、200ドルで発売した。このシステムは右手と左手用の2つコントローラーと、ベースステーション、ヘッドマウントディスプレイに装着するセンサーの3つで構成され、ユーザーの動きを検知する。

NOLO CV1は、市販のヘッドマウントディスプレイと組み合わせて使用するもので、グーグルのCarboardのような安価な製品でも、ルームスケールのVR体験を可能にする。スマホのVRでも、約500ドルで販売中のHTC Viveに匹敵する、没入感あふれるVRが手軽に楽しめる点で話題となった。

NOLO VRは昨年のシリーズAで、1000万ドルを米国のBlueRun Venturesの主導で調達していた。同社は今後VRソフトの開発も進め、モバイルVRのエコシステムの構築を目指している。

もう一社、中国のロボティクス系スタートアップとして注目を集めるのが、北京本拠の「Robosea」だ。同社を2015年に創業したXiong Mingleiも、コンシューマーテクノロジー部門で選出された。

Roboseaはその社名の通り水中に特化したロボットを生み出す企業で、「BIKI」と呼ばれるさかな型ロボットで話題を呼んだ。 BIKIは2時間連続で使用できるバッテリー容量を持ち、最大60メートルの深度で水中写真の撮影が可能だ。

Roboseaは、海底の地図作成が可能なプロ向けモデルのRobo-Sharkもリリースしている。同社はこれまで累計1500万ドル以上の資金を調達しており、2018年6月の資金調達では中国のLianshi Capitalと1898 VCから資金を獲得した。

編集=上田裕資

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