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生産性が高まる&楽しくなるワークスタイル設計

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私の住むニュージーランドは、夏が終わり秋に入った。季節が逆の日本は桜が咲く一年でももっともいい季節なので、この時期だけは日本が恋しくなる。

多くの企業が新入社員を迎え、社内にフレッシュな空気が流れていることと思うが、そんな若者の入社式での挨拶を聞くたびに、私には心配になることが一つある。

「私は◯◯がやりたくてこの会社に来ました」

中途社員の場合は、この◯◯が「新規営業」や「Webデザイン」といった具体的な仕事内容になることが多いが、新卒社員の場合は「世界を変える」とか「働く人々を幸せにする」といった、壮大な夢のようなものになることが多い。

私が心配になる理由は、こういうことを語る社員が、1年も満たないうちに心が折れて会社を去って行っていくことがあるからだ。「今の仕事は自分がやりたかった仕事ではない」とか、「この仕事が自分のやりたいことにつながるとは思えない」といった理由で。しかも残念ながら、私が属していたベンチャー界隈によく見られる。

「やりたいこと」にこだわる弊害

私はこういう社員を見て、「今どきの若者は辛抱が足りない」と非難する気にはなれない。逆になんとも申し訳ない気持ちになる。学生たちが就活で一生懸命自己分析をし、自分は何がやりたいのかを考え、面接の場で披露するようになったのは、企業側がそれを求めてきたからだ。

かくいう私も面接時に、「貴方のやりたいことは何ですか?」とか「将来の夢は何ですか?」といった質問をよくしていた。もちろん、本人の志向を知るうえでは意味のある質問だが、それ以上でもそれ以下でもない。私自身もかつては「壮大な志を持った若者は仕事ができる」と勘違いしていた。もちろん、そういう若者の中に大活躍する人もいるが、現実に直面して心が折れ、短期間で会社を去っていく人も少なくない。

だから就活生にははっきり言っておきたい。

「会社は君たちのやりたいことを実現する場ではない」

「やりたいこと」を悶々と考えるのもいいが、普通の人間がそんなことを考えてもたいていは徒労に終わる。「サッカーが好きだからサッカー選手になる」とか「魚が好きだから魚屋になる」とかはOKだ。やりたいことと実際に仕事でやることが直結しているから。

しかし、「働く人を幸せにしたい」といって、インターネット広告の会社に入るのは辞めたほうがいい。毎日テレアポをしながら、「これは自分のやりたいことではない」と後悔するのが目に見えている。

もちろん、「自分には叶えたい夢がある」とか「他人に反対されてもやりたいことがある」といった強い衝動を持っている人は、その衝動に従って素直に行動したらいい。就職なんかせずに起業してもいい。たとえ失敗してもその経験は財産になるし、やらないよりもやったことで清々しい気持ちになれるのは間違いない。

私が言っているのは、そういう強い動機や衝動を持っている人のことではない。普通の人のことだ。もう一度言う。就活で「やりたいこと」なんて考えなくていい。

文=角川素久

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