就活で「やりたいこと」なんて考えなくていい

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「やりたこと」や「夢」を抱くことは確かに大事だ。ただ、それはぼんやりと思い描いているくらいがちょうど良い。

では、何を軸にして仕事や会社を選ぶべきか。「流れ」と「必要とされている」ことを軸に考えると良い。

実はこれは就活に限らず、何か重要な選択をする時に私がいつも大事にしていることである。この2つを軸に、その時にとり得る選択肢の中から選択し、それが「やりたいこと」にぴったり合っていなくても、なんとなく繋がりそうなイメージが持てさえすればいい。

「流れ」というのは、自分の意志に関わらず導かれる感覚であり、その代表的なものが人との「縁」である。

某名刺管理クラウドの会社が、「出会う、が世界を変えていく」というコンセプトムービーを作っていたが、まさに歴史は出会い(縁)によって作られてきている。また、人との「縁」のほかに、情報との「縁」もある。たまたまSNSで流れてきて「知ってしまった」というのも「縁」である。

そして、もう一つの「必要とされている」とはどういうことか。

人は他者から認められたり感謝された時に最も喜びを感じる。誰からも認められず感謝もされないが自分のやりたいことをやった時と、自分のやりたいことではないが他者から認められ感謝された時と、どちらの方が喜びを感じるか? おそらく普通の人は後者だろう。だから、仕事は自分が「必要とされている場所」で「必要とされていること」をやると良い。

「やりたいこと」はできるようになる

仕事なのでやりたくないことでもやらなければならないこともあるが、それでも誰かから「貴方がここにいてくれて本当によかった」と言ってもらえればやっていける。まだ社会経験もなく、さしたる能力も無いと思っている人でも、必要とされる場所は必ずある。例えば、お年寄りが多く、人手が足りない場所なら、若くて元気というだけで重宝される。

「必要とされている」ということは、言い方を変えれば「役に立つ」ということだ。自分のこれまでの経験や勉強してきたことが役に立ちそうな会社を選べばいい。とはいえ会社は入ってみなければよくわからないので、言ってみれば会社は「流れ」だけで選んだっていい。

人間の意志というのは意外と脆い。毎日ジョギングすると心に決めても、たいていは挫折する。自分の意志で決めたというより、流れに身を任せ「縁あって今この場にいる」という状態の方が、人は余計な力が入らず安定した心持ちでいられる。なぜだかわからないが、何か大きな存在(それを神という人もいるし、運命という人もいる)が、自分をそうさせているという感覚は、ある種の諦めを生み、自分はここで頑張るしかないのだと思わせてくれる。

そして、必要とされている場で必要とされていることをし続けると、それは決して派手な成果ではないかもしれないが、組織への貢献は大きく、周りから信頼され、重要なポジションを与えられ、いつしか自分の「やりたいこと」ができるようになっているのだ。

これは私が20年の社会人経験で得た法則だ。
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文=角川素久

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