就活で「やりたいこと」なんて考えなくていい

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かくいう私は、大学を出て就職した会社に8年勤め、4人の仲間と起業した会社を9年で200人にし(今は550人)、昨年から家族5人でニュージーランドに移住し、原生林に囲まれた湖の辺りでリモートワークをしながら、家族との時間を最優先にして暮らしている。

……と聞くと、さぞ自分の人生を設計し、着実に「やりたいこと」を叶えたのだと思われるが、そうではない。

私は何かを計画的にするのが最も苦手な人間だ。その時々に必要とされることをやって、その時々に巡ってきた流れに従って、その時々にとり得る選択肢の中から、その時々の直感に従って選んできた結果に過ぎない。最初の会社に入ったのも、Sansanを起業したのも、ニュージーランドに移住したのも、本当にたまたまである。

最初に就職した会社も、就職氷河期の中で私を拾ってくれた会社に「縁」あって入っただけで、特にやりたいこともなかったが、会社が必要とする仕事を積極的に見つけて頑張っていたら評価もされた。

そして、ぼんやりと私の夢に近づくには起業が必要だと思っていたところに、大学の友人である寺田からSansan創業の誘いという「縁」が向こうからやってきた。しかし、実はそれは単なる偶然ではなく、前職での私の経験と評判を知ったうえで、私がSansanに必要だと寺田が思ったからだろう。

つまり、「流れ」を大事にし、「必要とされている」ことを一生懸命に続けることが、一見すると自分の夢や「やりたいこと」とは無関係だと思われる一つ一つの点が繋がって線となり、いつしか「やりたいこと」が実現できるのではないかと思うのだ。

これから就活をする学生はもちろんのこと、今春から社会人になった新卒社員が数カ月経って心が折れそうになった時に、このコラムを読んで少しでも気持ちが楽になり、自信を持って日々の一歩一歩に向き合えるようになってくれたら幸いである。

連載:生産性が高まる&楽しくなるワークスタイル設計
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文=角川素久

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