ビジネス

2019.04.16

テック企業とウーバー型テック企業の違い

Creative Lab / Shutterstock.com


経営スタイルや文化以外でも、ウーバーは大きな課題を抱えている。同社は創業当初から莫大な損失を出してきた。

あのアマゾン・ドット・コムも長期に渡り損失を出してきたが、ウーバーの損失はそれを上回る。ウーバーの2018年の売上高は113億ドル(約1兆2700億円)だったが、営業損失は30億ドル(約3400億円)に上り、中国、ロシア、東南アジアの子会社による売り上げでかろうじて埋め合わせていた。

コスロシャヒは、長期的な目標達成のためには短期的な利益を犠牲にする用意があると述べている。つまり、同社の将来にとって欠かせない自動運転車への投資を継続するということだ。


ダラ・コスロシャヒ(Getty Images)

同社は昨年、自動運転技術に4億5700万ドル(約512億円)を投資しており、この金額は乗客数万人、数百万km分の輸送に相当する。同社はドライバーとの対立が懸念材料であることを認めており、ドライバーがこなした輸送距離に応じて最大1万ドル(約110万円)を与える用意があると述べている。しかし、こうしたドライバーたちにとって、ウーバーでの長期的な将来はない。

良い面として、ウーバーは同社のサービスを1カ月で平均5.5回利用する9100万人以上のユーザーを抱えており、競合の増加にもかかわらず大きな成長のポテンシャルを持っていることがある。また同社が参入した料理宅配や産業用輸送のサービスも、大きな成長が見込まれる。さらに、同社が「1株1議決権」を維持すると表明していることも注目すべき点だ。他のテック企業とは全く対照的なアプローチで、特に主要競合企業であるリフトでは、創業者により大きな権限を持たせている。

筆者はかつてウーバーについて、将来の巨大テクノロジー企業になると予想した。この予想は、1000億ドル以上という上場時の時価総額が裏付けている。だが、今私たちが見ているのは、単なる旧型のテック企業ではなく、近い将来、私たちの住む街の姿を変える新技術へのコミットメントだ。

ウーバーは、「交通はサービスであり製品ではない」というメガトレンドを率いる企業だ。これに抵抗することは、無意味だろう。

編集=遠藤宗生

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