英国は結局「ノーブレグジット」に? 永遠の議論とEU残留の可能性

Photo by Sean Gallup/Getty Images

ブレグジットに関する予想──英国の欧州連合(EU)からの離脱について、新たに合意された期日である10月31日までに同国の政治は消耗し、人々はこの恥ずべき状況の打開を断念。英国は結局、EUを離脱しない(ノーブレグジット)。

市場は英議会の過半数が、テリーザ・メイ首相とEUが取りまとめた離脱協定の内容により長い時間をかけて合意に達することを期待している。その方が、「ハードブレグジット(合意なき離脱)」となった場合よりも、経済や英ポンドに急激にかかるストレスが弱まるからだ。

だが、離脱期限の延長を認めるにあたっての明確な条件が付けられなかったことで、弱まったのは英議会が解決策を見出す動機だ。議員らは永遠に、解決を先送りしていくことができる。

EU加盟各国の大多数が4月11日に離脱期限の延期を認めたのは、驚くべきことだ。各国が合意していなければ、英国は翌12日にEUから離脱。貿易は世界貿易機関(WTO)のルールに基づいて行われることになっていた。

そして、英領北アイルランドとEU加盟国アイルランドの国境でのビザや人の自由な移動などの問題は、解決されないまま残ることになっていた。ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、必要であれば離脱の期限をハロウィーン後に再び延長することもあり得るとの考えだ。

期限は何度でも延長可能?

新たな離脱期限(恐らく実際の期限にはならない)は、次の2つのことを示している。まず、ハードブレグジットは回避されるだろうということだ。英議会がそれを不可能にする法案を可決しただけでなく、メルケル首相がEUは合意に達するまで期限の延長を認めるべきとの考えだからだ。

さらに、ドイツがEU経済における英国の重要性をますます意識するようになっているということだ。フランスが政治的に混乱し、イタリアが税金や移民の問題を巡るEUとの論争を続け、スペインでEUに懐疑的な国家主義者が急増する中、英国の離脱がEUにもたらす損失は計り知れない。

実際に離脱となれば、どのようなドミノ倒しが起きるだろうか?ギリシャやイタリアなどが、英国に続こうとするかもしれない
次ページ > 「離脱なし」はあり得るのか?

編集=木内涼子

ForbesBrandVoice

人気記事