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2019.04.16

「規格外」野菜とフードロス 正しいこと、そうでないこと

amophoto_au / shutterstock.com

食品廃棄との闘いは大きなビジネスになっている。食品廃棄問題に取り組むスタートアップに対する投資は昨年、1億2500万ドル(約140億円)に上った。

その一つが、色や大きさ、形などの見た目が大規模食料品店の規格に合わず販売できない農産物を扱う分野だ。こうした規格外農産物を巡る議論によって、食品廃棄ビジネスに新たな疑問が投げ掛けられている。

食品廃棄が最初に大きな注目を集めたのは2011年のことだ。国連食糧農業機関(FAO)はその年、人間が消費することを目的とし供給された食料の約3分の1が、失われるか無駄になっているという憂慮すべきデータを報じた。

同年、メリーランド大学の小さな学生グループは、キャンパスの食堂で残った食品を寄付するプログラムを創設した。学生グループの2人はその後、栽培業者や食品包装業者から集めた過剰な生産物を消費者に直接箱で販売するハングリー・ハーベスト(Hungry Harvest)を共同で立ち上げた。

同社のエバン・ルッツ最高経営責任者(CEO)が2016年、米国で人気のテレビ番組「Shark Tank(シャークタンク)」に出演して資金提供を受けると、同社は米国中で注目を浴びた。

初めて寄せられた批判の声

この動きに初めて本格的な批判が寄せられたのはその2年後だ。カリフォルニアを拠点とするファット・ビーツ・プロデュース(Phat Beets Produce)の創業者らは、規格外農産物を扱うカリフォルニア企業、インパーフェクト・プロデュース(Imperfect Produce)についてブログ記事を掲載し抗議した。

ハングリー・ハーベストやインパーフェクト・プロデュースと違い、ファット・ビーツは非営利団体(NPO)として活動している。同団体は、営利団体であるインパーフェクト・プロデュースが農産物を安売りし、コミュニティーが支える農業の取り組みを損なっていると批判した。

食品廃棄の大部分を占めるのは消費者やレストラン、食料品店だが、規格外農産物を販売する企業のビジネスモデルはこうした分野に触れていない。世界資源研究所(WRI)の食品廃棄研究者、ブライアン・リピンスキーは、規格外農産物を販売する運動は「(食品廃棄に対する)活動全体のうち、比較的小さなピース」を担っているとしつつも「(規格外農産物に関する議論だけが)食品廃棄全体の観点とならないようにすることが重要だ」述べた。

ノースカロライナ州立大学の食品廃棄の研究者、リサ・ジョンソンは、フードウエースト(食品廃棄)とフードロス(食品ロス)という2つの全く異なるカテゴリーの間の境界線が不明確になっていることが問題の一つだと指摘している。
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翻訳・編集=出田静

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