「リハビリが必要な人たちにとって、外骨格ロボットを買うことは、もうすぐ、スマートフォンを買うようなものになるかもしれません。それくらい、日常生活に必要なツールになると予想しています」。上海伝利叶智能科技有限公司(伝利叶智能)の最高戦略責任者、Zen KOH(許德宏)氏はフォーブス中国に対し、そう説明した。
本日、午前、上海で、上海伝利叶智能科技製外骨格ロボット「Fourier X2」の発表会が行われた。1年以上前に行われた、製品化としては国内初だった下半身外骨格ロボット「Fourier X1」の発表会と比較すると、今回はレベルが上がり、実際に、モデルにこの次世代ロボット「Fourier X2」を装着させてデモンストレーションを行った。また、伝利叶智能、ナショナルインスツルメンツ(NI)、メルボルン大学が提携して作った、下半身外骨格ロボットとしては世界初のオープンプラットフォーム(EXOPS)が正式に発表された。
このプラットフォームをベースに今後は、学校、研究機関、臨床センターなどが、外骨格ロボットの二次開発を行うことができる。つまり、大量の人やモノを投入してゼロベースから研究をスタートするのではなく、二次開発によって外骨格ロボットの実用化を推進し、各分野の広範囲に応用できるようになるのだ。
みんなで開発するロボット版「アンドロイド」
今回のオープンプラットフォームでの提携理由について、ナショナルインスツルメンツ大中華区販売部長の喬巍氏は次のように語った。
「大中華区はナショナルインスツルメンツにとって最大の海外市場です。私たちは、この市場へのより効果的な投資を可能にするためにも、国内の科学技術企業をサポートし、さらに彼らの生産力、イノベーション、追求力を高めることを考えています。彼らには、ナショナルインスツルメンツとともに成長してほしいのです。伝利叶智能のようにイノベーション力のある企業との提携は、国内のイノベーションを効果的にサポートした好事例になりました。
技術イノベーションはゼロからは非常に難しいものです。分散した個々での部分的なブレイクスルーは可能ですが、業界にとって意味のある貢献は蓄積できません。私たちと伝利叶智能が協力して構築したオープンプラットフォームは、今後の産業化プロセスの各次元で貢献するでしょう。私たちにとって、2018年はこれまでにも増してスピード感のある1年でした。チップの実験、5G、自動運転シミュレーション試験などの応用領域を含み、半導体、自動車、宇宙・航空、教育機関に重点的に投資してきました」
外骨格ロボットの製品アピール写真出典:上海伝利叶智能科技
現在外骨格ロボットの販売価格は一台10〜15万米ドル(約1100万円〜1700万円)だ。Zen KOH氏は次のように話す。「これまで、外骨格ロボットは普及しませんでした。ハードが複雑な上、販売台数が少なく量産化ができなかったのです。価格も高いままでした。でも、伝利叶智能のオープンプラットフォームをベースにすれば、ゼロベースから技術の研究開発をする必要がなくなります。ロボット開発に興味を持つ多くの人が開発に参加できるようになるのです。そうすれば外骨格ロボットは広範囲に応用されるようになり、価格も徐々に下がり、サービスコストも節約できるでしょう。外骨格ロボットの業界では、伝利叶智能は成熟した会社であり、もし私たちが開発プラットフォームを開放してアンドロイドの開発のようにできれば、産業すべての発展は加速化するでしょう」
Zen KOH氏は、外骨格ロボット単体の開発からプラットフォームの使用権限の付与までのプロセスは、携帯電話と似ていると指摘する。
「携帯電話の場合、当初は各メーカーが多種多様なシステムのモデルを出していましたが、最終的にアップルやアンドロイドのシステムが発表され、プラットフォームが提供されてきました。開発者が、いわば既存システムという「巨人の肩」に立って開発と創造をすることができるようになったのです。ただ、それは、あるメーカーが先頭を走り、広範囲のプラットフォームを提供することが前提です。今回、伝利叶智能、ナショナルインスツルメンツ、メルボルン大学による外骨格ロボットのプラットフォームがまさにそれです。今後、非常に大きな価値を持つでしょう。
技術、製品の改善、さらには産業チェーン体系の改善を通じて、伝利叶智能の『Fourier X2』は実用化に成功し、さらに量産化を視野に入れられるロボットになりました。私たちはリハビリ分野を堅実に進んで、まずは歩けない多くの患者のリハビリトレーニングのサポートを可能にするロボットを作り、最終的には彼らが立ち上がり、歩き、元の生活に戻るまでを援助したいのです」。
利叶智能が製品化した下半身の外骨格ロボットX2。写真出典:上海伝利叶智能科技