去年、アリババは達摩院を始動させ、基礎科学と革命的技術のイノベーション研究に着手した。アリババ創始者のジャック・マー氏は達摩院について、アリババが世界に残す最良の物の1つになると考えている。同氏は「たとえアリババがなくなっても『達摩院』は残り続けてほしいと思う」と語っている。また「達摩院とその100人の職員が、中国を含んだ今後の世界産業競争の最前線の状況を決定づけた可能性が高い」と指摘した。
達摩院の設立当初、アリババは世界で優秀な人材を探した。機器スマート化実験室だけでも、NSF Career Awardの受賞経験がある金榕氏(米国ミシガン州立大学終身名誉教授)、AI意思決定分野の専門家の朱勝火氏、自然言語処理(NLP)でトップの学者である司羅氏など、業界重鎮クラスの学者たちが招聘されたのだ。
こうした中、インテル実験室で主任研究員をしていた章禎梁氏にも誘いがきた。「金榕先生や朱勝火先生が直々に面接してくれました。話し合いの末、ここに来る決意をしました」。彼は、一番心を動かされた理由について、「業界トップの人物と一緒に仕事ができること」を挙げた。
彼によると、アリババは学術界と産業界をつなげるため邁進しており、現実性を備えた業務場面やデータなどの情報を提供してくれる。これがAIの研究でとりわけ重要という。ユーザーに直接影響を与えるような技術と製品づくり。それも章禎梁氏が取り組みたいことだ。
達摩院で仕事する利点は、自分で問題を探すのではなくて、問題が自分のところにやってくることだ。達霊のオンライン化後、多くのチームから協業の打診が来始めたという。試験的導入期の達霊は多くの問題をすでに解決してきた。しかし異なる場面に至ると、即時性の制約や新ビジネス・業務ロジックがシステムに高い要求を課すのだという。現在でも、達霊は自己進化を続けている。
「知るべきことが多いです。責任が大きく、仕事は楽ではありません。でも、このような期間が続く中で、自分はたくさんのことを学び、問題解決能力も上がったように感じます」。章禎梁氏はチャレンジ好きであり、プレッシャーの中で成長するリズムを楽しんでいる。
章禎梁氏の経歴は豊かだ。彼はコロンビア大学の客員教授であり、IEEE(アイトリプルイー)の出版部門で副編集長をしている。彼は専門分野の論文を大量に読み、批評や意見を迅速に出す必要がある。そんな中、彼は中国国内の学校の教育と研究レベルが上がってきていることに気づいたという。「今年、人工知能に関するトップカンファレンスのICMLやIJCAIで出会った学者の半分が華人学者だったかもしれません」。
章禎梁氏は中国と米国を股にかけ、自分が関わるAI業界の発展を目指している。そんな彼によると、両国の最大の違いはAI技術の実用化と製品化の速度にあるという。米国の大量データの利用と規範化は今後、非常に厳しい局面に入る可能性がある。データと人工知能分野の企業にとって、データの監督・管理の行き過ぎた強化は発展速度を抑える悪材料になりかねない。しかし、中国はその点有利だ。
人工知能で、彼の一番の関心ごとはセキュリティー問題だ。深いレベルでの学習は人工知能にイメージ・言語分野の質の向上をもたらした。しかし基本とする深いレベルの学習について、人々の理解はまだ非常に限られているという。これについて、彼は学術と産業界が一緒に考え解決を図り、議論をしていくべき大きな問題だと考えている。
最後にインタビュアーは章禎梁氏に最近一番よかったことについて尋ねた。彼はこの質問に対し、「子犬をもらって飼い始めたことと」だと楽しそうに笑いながら答えてくれた。きれいな顔をしたボーダー・コリーだった。仕事のほか、屋外スポーツ好きの章禎梁氏はボーダー・コリーを連れて山に登って行った。
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