ビジネス

2019.04.16

結婚・出産を経て、自己資金でブランド立ち上げ。デビューから20年、鈴木えみを突き動かしたもの

Lautashiデザイナーの鈴木えみ(写真=小田駿一)


将来的には「体験」も。新たな洋服の楽しみ方も模索する

ブランドの立ち上げから2年が経過。Amazon Fashion Weekの「AT TOKYO」でインスタレーションも披露することができました。また、自分が良いと思った洋服に共感して購入してくださるお客様も少しずつですが、増えてきています。

とはいえ、実現したいことはまだまだ、たくさんあります。まずは、ブランドのファンをもっと増やすことですね。今はまだ、「鈴木えみ」が入り口となってブランドのことを知ってもらう機会が多くて。それもすごく有難いことではあるのですが、もっとお客様と深いコミュニケーションが取れるように、ブランドとのタッチポイントを増やしていけたら、と思っているところです。

また、商品の展開もいろんなことが試せればと思っています。伝統工芸を取り入れたくて、2019A/W(秋冬)コレクションに向けて、漆を使ったアクセサリーを製作中です。なかなか洋服に取り入れるのが難しく、探り探りの感じになってしまうかもしれませんが、古き良きものはしっかり残しつつ、新しいことにチャレンジしたいですね。

あとは……私が洋服を作る過程で感じる“わくわく”や“ときめき”をお客様と一緒に共有したいんです。例えば、生地を染める体験を一緒に味わえたら楽しそうだと思うので、ブランド体験ツアーみたいなものも将来的にやりたいと思っています。

娘が大人になる姿を想像し、仕事の役割を考えるようになった



子どもが生まれる前、自分がブランドを立ち上げて、デザイナーとして働いている姿は想像もできていなかったです。今まで半年先のことも考えたことがなかったくらいですから(笑)。子どもが生まれてから、2年先くらいのことまでは考えられるようになりました。

娘が大人になっていく姿を想像すると、どういう人が生産した食べ物を食べてほしいのか、どういう人が生産した洋服を着てほしいのかが気になるようになって。社会における仕事の役割をすごく考えるようになりました。だからこそ、Lautashiがあると思います。

服飾専門学校にも通っていなかったですし、ファッションモデルの仕事をしていた頃は、生産背景や洋服づくりのプロセスに一切触れてこなかった。何も分からないことだらけの中、友人のデザイナーのアドバイスももらいながら洋服づくりを始め、少しずつ知識を身につけていき、今があります。いつもサポートしてくれるパートナーも含め、周りの人たちに感謝しながら、今後も自分が愛せるブランド、プロダクトを作り続けていきたいです。

写真=小田駿一

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