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2019.04.15 17:00

アクセンチュア、世界的クリエイティブエージェンシー「Droga5」を買収。過去の買収からその狙いを探る

Gettyimages

グローバルに展開する総合コンサルティング会社、アクセンチュアは4月12日、世界屈指の革新力と影響力を持つクリエイティブエージェンシー「Droga5」を買収することで合意したと発表した。

アクセンチュアで広告代理店としての機能を担っているアクセンチュア インタラクティブは、Droga5を傘下に加えることで、企業成長に資する顧客体験を設計、提供するエクスペリエンスエージェンシーとして、その体制を強化していくという。

世界屈指のクリエイティブ集団を手に入れたその先

Droga5は、ニューヨークとロンドンに500人以上のプロフェッショナルを擁する、新進気鋭のクリエイティブエージェンシーだ。2006年の設立当初から、型破りなアイデアを武器に野心的な作品を手掛け、一躍広告クリエイティブ界のトップに躍り出た。世界最大規模の広告祭「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル 2011」では3部門でグランプリを獲得するという快挙を達成、アドウィークやアドバタイジング・エイジなどでこれまでに20回もエージェンシー・オブ・ザ・イヤーに選出されている。

Droga5の創業者であり、クリエイティブ・チェアマンであるデビッド・ドロガは以下のように述べている。

「私たちは創業当時から、業界を進化させ、全体にポジティブな影響を与えられるように、多岐にわたるプロジェクトを情熱をこめて取り組んできました。広告業界は今も変化を続けています。Droga5に新たな知見とさらなる可能性を与えるアクセンチュア インタラクティブとともに、業界にさらなる変革を起こしてまいります」

Droga5の手掛けた印象的な作品の一つに「大統領専用機であるエアフォースワンに一般人が落書きをするYouTube動画」というものがある。全米を騒がせたこの動画、実はアパレルブランドの広告であり、マスメディアを使わないバイラル(口コミ)を利用した広告手法として世間に衝撃を与え、バイラル広告ブームの先駆けとなった。

その他にも、Amazonプライム・ビデオや生命保険大手のプルデンシャル、スポーツウェアブランドのアンダーアーマーといった世界的なブランドを手掛けている。

脱・コンサルファーム。アクセンチュアの活発な企業買収

2009年に設立されたアクセンチュアインタラクティブにとって、Droga5の買収は過去最大規模となる。2013年の企業買収を皮切りに、拡張現実やプログラマティックサービスなどの分野へも事業を拡大させながら、世界で売上高85億ドルの組織にまで成長を遂げている。

日本国内においては、2017年12月に、国内屈指のデジタルマーケティング企業である株式会社アイ・エム・ジェイを傘下に収めたことは記憶に新しい。

その他にも、以下の企業買収を過去に実施している。
2013年5月:「Fjord(フィヨルド)」ロンドンのデザイン会社買収からデジタルマーケに進出
2013年5月:「アクイティ・グループ」香港のEコマース専門企業(買収額:3億1,600万ドル)
2015年7月:「ケイオティック・ムーン・スタジオ」テキサス州に拠点を置くアプリ開発業者
2015年8月:「FusionX」ワシントンD.C.に拠点を置くサイバーセキュリティ企業
2016年5月:「OPSルールズ」機械学習によるデータ分析アプリケーション会社
2016年9月:「カート・サーモン社」小売業界を得意とする世界的な戦略コンサルティング企業
2016年11月:「Karmarama(カーマラマ)」イギリス国内取扱高で第3位のエージェンシー

こうしたアクセンチュアの活発な企業買収には、コンサルティングファームの広告領域への進出というトレンドが背景にある。デジタル広告市場そのものの伸長だけでなく、マーケティング戦略設計と施策の実施の境界が広告のデジタル化によって曖昧になったことで新しい市場が生まれたことがその要因とされている。Droga5の買収により、アクセンチュアの広告領域への進出はさらに加速していきそうだ。

デジタル時代に誕生したアクセンチュアインタラクティブおよびDroga5の両社は先日、ファスト・カンパニー誌で2019年版の「広告業界で最も革新的な企業」に選ばれた。アクセンチュア インタラクティブは戦略コンサルティング、アドテック、クリエイティブの融合に優れている点が評価され、Droga5は型破りで革新的な広告キャンペーンが高く評価されている。

買収を機に両社の強みを融合させ、新しいエージェンシーモデルの構築という共通の目標に向け、価値あるブランド体験をあらゆるタッチポイントでお客様および生活者に提供できるように協力していくとしている。

文=大木一真

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