ドイツが「5G」でファーウェイ受け入れ、米国の要請を拒絶

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ドイツ政府は、5Gネットワークからファーウェイ製品を排除せよという、米国の要請を拒絶する意向を固めた模様だ。米国はドイツに対し、ファーウェイ製品を使用した場合、機密情報の共有を停止すると脅しをかけていたが、ドイツはこれを無視しようとしている。

ドイツ連邦ネットワーク庁プレジデントのJochen Homannは、英フィナンシャル・タイムズの取材に「(5Gネットワーク整備にあたり)ファーウェイを含む、いかなるサプライヤーも排除しない方針を固めた」と述べた。

先日はドイツの地元紙「Frankfurter Allgemeine Sonntagszeitung」が、ドイツ政府の匿名筋の話として「米国の一部の政府関係者はドイツ政府が5G導入にあたって講じようとしている、セキュリティ対策が十分であるとの認識を示した」と伝えていた。

今回のHomannの発言は、この報道を裏づけるものだ。「ファーウェイはこの分野で多くの特許を保有している。彼らを排除したなら、我が国の5Gネットワーク整備が遅延することになる」と彼は述べた。

4月10日に米国務省のサイバーセキュリティを担当するRobert Strayerは、同盟国に対しファーウェイやZTEの製品を排除するよう求めていた。これらのベンダーの製品がネットワークに導入されたなら、米国は機密情報の共有を停止すると彼は述べていた。

ドイツ政府の決定は、「ファーウェイが中国政府の要請を受けて、スパイ行為を行っているという明確な証拠はない」とする通信業界の意見を聞き入れたものだ。

「連邦ネットワーク庁は、ファーウェイが違法行為を行っているとする明確な証拠を得ていない」とHoffmanは述べ、ドイツ政府はファーウェイやその他のベンダーの製品の導入にあたり、独自の厳格なセキュリティ基準を適用すると述べた。

先日はファーウェイの通信インフラ製品に脆弱性があることが報じられたが、同社のセキュリティ担当者は筆者の取材に「我々の競合の製品を含む、全てのベンダーの製品をテストするべきだ。仮に競合のプロダクトから、一切の脆弱性が発見されなかったとしたら、驚くべきことだ」と述べた。

さらにファーウェイのグローバル主任のJoy Tanは、「当社は過去にセキュリティに関わるインシデントを一切起こしていない。セキュリティの強度において、ファーウェイは業界のベンチマークといえる」と述べた。
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編集=上田裕資

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