世界No.1ラム「バカルディ」を使い、後世に残るスタンダードカクテルをつくる世界のバーテンダーたちの間で最も権威ある登竜門としても知られるイベントの、日本大会ファイナルを取材した。
次世代のスタンダードカクテルを生み出すことを目的に、世界No.1ラムとして愛されるバカルディが開催する「バカルディ レガシー カクテル コンペティション(BLCC)」。今年2月、全国のバーテンダーが世界大会への挑戦権を懸け、オリジナルカクテルを競わせた。
会場以外でもFacebookのライブ配信にて一般公開されるパフォーマンス審査と、非公開でのプロモーション審査が行われるのが本大会の大きな特徴。プロモーション審査では、セミファイナル終了後の3カ月間でどれだけ有効なプロモーション活動を行ってきたのかが問われた。
130名以上の観客が詰めかけた会場は、ファイナリストのパフォーマンスによって熱気に包まれた。 プロモーション審査員は、放送作家・脚本家の小山薫堂氏と、BLCC 2012世界大会で優勝し、今や世界に活躍の場を広げるバーテンダー、後閑信吾氏。ファイナリストたちは、自身が所属するバーで提供した杯数や、自ら主催したイベント、あるいは他のバーにゲストバーテンダーとして参加した際の成果をプレゼンテーション。さらにBLCCの公式アカウントと連携させつつ、SNSを用いたPRへの取り組み結果を発表するなど、今の時代にふさわしいコミュニケーション力もアピールした。
左:プロモーション審査を行う後閑氏(左)と小山氏(右) パフォーマンス審査の会場となった東京のアクトスクエアには、当日130名以上の観客が集結。パフォーマンスは1人につき6分間。定められた時間内にどれだけ完成度の高いカクテルを用意しつつ、さらに観客を魅了できるか、会場内の緊張感と熱気ははじめから最高潮に達する。応援に駆けつけた関係者たちは、ステージに大きな声援を送り続ける。ファイナリストたちは、そんな後押しに励まされながら各々の全力を出し切った。
白熱した大会を制したのは、青森県「SHADOW BAR」の岡沼弘泰氏。ヘミングウェイの「他人より優れたものではなく、過去の自分より優れたものこそ気高い」という言葉に勇気付けられたと語る氏。後閑氏のような世界的バーテンダーと自身を比べてしまいがちだった弱さを受け止め、「昨日の自分を超える」ことを目標に、「進化する人」を意味する「EVOLVER」を創作し、見事その目標を達成した。
入念な準備を行ってきたという岡沼氏は圧巻のパフォーマンスを披露。堂々としたパフォーマンスもさることながら、圧巻だったのはコンセプトに合致する計算された味づくりだ。ベースに用いたのは、バカルディという世界No.1ラムブランドを象徴するホワイトラム「バカルディ スペリオール」。そこに加える副材料で、人生を想起させる甘さやほろ苦さを表現し、さらに人生に彩りを与えるスパイスの刺激を添えた。「人生」は「挑戦」することによって「進化」が果たされる─ そんなメッセージが込められた。
左:岡沼弘泰◎SHADOW BAR マスター/バーテンダー。青森県八戸市出身。曲芸的パフォーマンスを行うフレアバーテンディングでは、全国大会優勝の実績を持つ。右:優勝した岡沼氏のカクテル「EVOLVER」。バカルディ スペリオールにマルティーニ ビター等を加え、鮮やかなピンク色に仕上げた。岡沼氏は、5月中旬にオランダ・アムステルダムで開催される世界大会に挑戦することとなる。「他のファイナリストたちの思いを背負っていきたい」と語る氏のカクテルが、未来の「スタンダードカクテル」となることを期待したい。
バカルディ レガシー カクテルコンペティションとは
1862年にドン・ファクンド・バカルディが開発したのが、彼の名を冠したラム、バカルディ。サトウキビを原材料にした蒸留酒ラムの中でも、バカルディはその品質の高さから世界中で愛飲される。
ラムと言えば、モヒートやダイキリなど国境と世代を超えて愛される「スタンダードカクテル」が多く存在する。次世代のスタンダードとなり、レガシーとなるカクテルの創出を目的に、バカルディが2008年に始めたのが「バカルディ レガシー カクテル コンペティション」だ。
バーテンダーたちはバカルディベースのカクテルを考案し、エントリーする。日本大会は、今年で4回目の開催となる。
大会ではまずカクテルレシピの書類審査が行われ、20名がセミファイナルに進む。そこでは実技パフォーマンスにより、5名のファイナリストが選抜される。
ファイナルでは、プロモーション審査とパフォーマンス審査の2種類が行われる。カクテルの味だけでなく、コンセプトを表現し伝える能力など、バーテンダーとしてのあらゆる技能が問われる。優勝者は世界大会への出場権を手にする。
バカルディ ジャパンhttps://www.bacardijapan.jp