2. 部下にフィードバックを求める
経営陣は優秀な人が多いため、自分にうぬぼれるがあまり、他者の助けは必要ないと勘違いすることが多い。しかし、自分へのフィードバックを求めるリーダーは、自分だけでなく他者のパフォーマンス改善も促すことができる。
経営学誌アドミニストレーティブ・サイエンス・クオータリーに発表された論文によると、上司がフィードバックを求めるなど謙虚さと結びついた行動を取ることで、直属の部下のエンゲージメントとパフォーマンスが上がることが分かっている。
3. リーダー育成の機会を強調する
第6代米大統領のジョン・クインシー・アダムズの有名な格言に「あなたの行動により、他の人々がより大きな夢を見て、より多くのことを学び、より多くのことを実行し、より大きな存在になるよう触発されるなら、あなたはリーダーだ」という言葉がある。有能なリーダーは、CEOとしての自分の任期が終了したとき誰が会社を率いるのか、今何をすれば会社を未来に備えられるかを考える。
サミット・プランニング・グループ(Summit Planning Group)の公認資産運用プランナー、ギデオン・ヒックスによると、米国の人気就職先企業では、リーダーシッププランニングが重視されている。米キャリア情報サイトのグラスドア(Glassdoor)がまとめた最高の職場ランキングでグーグルがトップ10に入るようになったのは、リーダーシップ開発チームを導入してからのことだ。特にミレニアル世代は他者のためになりたいという欲求が強く、リーダーになる機会を求めていることを、グーグルなどの企業は認識しているのだ。
4. 他者にイノベーションのアイデアを求め、導入する
イノベーションに至る道はひとつだけではなく、最善の方法がトップの人によって見つけられることはほとんどない。素晴らしいリーダーは実際の作業を日々こなしている人に頼り、会社をどのようにすれば改善できるかを尋ねる。一方でダメなリーダーは、部下の提案を過小評価し、自分のアイデアを押しつける。
こうしたリーダーシップの違いがどれほど大きな影響を与えるかを理解するために、英銀スタンダードチャータードのケースを考えてみよう。同社でシンガポールから中国へと転勤し、消費者向け銀行部門長に就任した崔晸圭は、現場視察で支店長らを驚かせる行動に出た。現場に対してコスト削減の圧力をかけるのではなく、どのようにすれば各支店を改善できるかを従業員に尋ねたのだ。
崔の謙虚なリーダーシップのおかげで、顧客満足度は54%上がり、顧客からのクレームは28%減った。さらに、従業員の離職率は中国の外資系銀行の中で最高から最低へと改善した。
企業の頂点にいる人は、「下位層」の従業員がもたらす価値を忘れてしまいがちだ。リーダーは周囲にインプットを求め、尊厳を持って周囲に接するだけで、部下同士の認識や扱い、パフォーマンスを変革することができる。そうすれば会社の成長の種をまき、素晴らしい企業としての評判を育てられるだろう。