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フリーライター/エディター


こうして集めたデータは、トレーナーや栄養士といったチームスタッフに共有可能。トレーニングメニューやケガ予防の対策を、コンディションに応じて細かく指導できるようになる。



ユーフォリア提供

さらに、選手がトレーニング時に感じた疲労度も入力可能。一見、新しい機能に感じられないが、ユーフォリア代表取締役/Co-founderの宮田誠によれば、これこそが実は重要な点だという。

「若いアスリートに多いのは、疲れに気づかないまま無理をしすぎた結果、大きな怪我をしてしまうこと。逆に、ベテラン選手は主観と客観データのズレが少ないことが多い。自分の体調をきちんと把握できているので、無理のないトレーニングができるんです。デバイスで測定した客観的なデータと本人の主観を組み合わせることで、若いアスリートにもこのズレに気づいてもらいたい。そうすればより適切な指導が可能になりますし、故障のリスクも大きく減らせます」

すでにラグビー日本代表を含め、30競技以上のチームが導入しており、集めたデータは100万を超えるという。これからはこのデータを基に、現在のコンディションから起こりやすいケガの予測なども行う予定だ。

テクノロジーは、人の体をどう扱うべきなのか?

今回取材した企業に共通したのは、客観データによってスポーツ業界のアップデートを目指していた点。エビデンスや選手の実情を考慮しない根性論は、科学に基づいた知見や身体の状態を感知するセンサーによってどんどん塗り替えられていくはずだ。

一方で、人間の体を資本とするスポーツでは、体を扱う本人の「主観」が大きな意味をもつことも間違いないだろう。例えば、「これ以上トレーニングを重ねるのは良くないかもしれない」といったベテラン選手の直感を、IoTデバイスはどのように扱うのか。

思い込みでしかなかった根性論の悪い部分を客観データで乗り越える一方で、こうした「主観」の扱い方については、まだ多くの企業はスタンスを決めかねているのではないか(定める必要があるのかすら、わからないが)。

スポーツにまつわる「常識」は、これから次々と刷新されるだろう。テクノロジーによってスポーツ、そして私たちをとりまく「体を動かす行為」はどのように変わっていくのか。今後、ますます注目が集まる領域だ。

[訂正]当初公開の際、記事の冒頭で紹介した会社名と創業者名に誤りがありました。訂正の上、再掲載いたします。深くお詫び申し上げます。

文・人物写真=野口直希

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