ことの発端は2017年にミクシィ傘下の「チケットキャンプ」で、コンサートチケットの違法な転売が行われていることが発覚したことだった。チケットキャンプは商標権侵害の容疑にも問われ、2018年5月にサイトを閉じた。その翌月に、同社の社長は辞任した。
笠原はこの件には関与していないとされ、その後もミクシィ会長のポジションにとどまった。ミクシィはこの件に関し、次のような声明をEメールで出していた。
「当社はチケットキャンプのビジネスに、いかなる違法行為があることも認識していなかった。しかし、チケットキャンプの事業にレピュテーションリスクがあったことは事実で、第三者委員会を立ち上げた」
2004年に笠原はソーシャルネットワークサービスとしてミクシィを立ち上げ、2年後に東京市場に上場を果たした。当時まだ20代だった笠原は一夜にしてビリオネアになり、2007年のフォーブスの「日本長者リスト」に最も若い長者の一人としてランクインした。
投資家らはミクシィが、フェイスブックを超える存在になると期待し、上場初日のミクシィの株価はIPO価格の2倍となり、時価総額は19億ドルに到達した。
しかし、その後のミクシィはフェイスブックやツイッター、LINEなどの競合にシェアを奪われ、新規事業を模索した。出会い系サイトや街コン、フォトブック事業などの試行錯誤を重ねた結果、新たな鉱脈となったのがソーシャルゲーム事業だ。
2013年リリースの「モンスターストライク」は大ヒットとなり、4900万ダウンロードを記録。調査会社Sensor Towerによると、世界で72億ドルを売り上げたこのゲームは、モバイルゲーム史上最大の売上を記録したタイトルの一つにあげられる。
しかし、ソーシャルゲーム市場の変化のスピードは早く、モンスターストライクの人気もピークを過ぎた。
2018年12月末までの9カ月間(2018年4月〜12月)のミクシィの売上は、前年同期比22%減の1060億円で、純利益は32%減の170億円となった。
株価が低迷する中で、ミクシィはモンスターストライクのブランド価値を活かしたeスポーツ大会を開催している。「ゲームのファンたちとの接点を増やし、ユーザーベースを拡大することで、ミクシィは中期的には売上の減少を食い止めるかもしれない」と、エクイティ調査企業のPelham Smithers Associatesのレポートは述べている。