フリーライター/エディター


最近象徴的だったのは、今年の3月にアマゾンが「アマゾンダッシュボタン」の販売を終了したことですね。商品のリピート注文はアマゾンエコーでできることなので、役目を終えたと判断したのではないでしょうか。

音読の間違いを教えてくれる語学学習サービス

iProspect Japan COOの渡辺大吾
iProspect Japan COOの渡辺大吾

──改めて、音声認識のビジネス利用について教えてください。企業は、音声をどのように使うのでしょうか。

渡辺:ハンズフリーで文字を入力できる音声は、ほかの作業と並行して行うことができるので、コンシューマーにとってはより手軽な企業との接点になると期待されています。ほかには顧客の発言から感情を読み取ってマーケティングに生かそうとする試みもありますね。

他には文字起こし機能による議事録や医師の診断カルテの自動作成も少しずつ進んでいます。

とはいえ、まだ多くの企業は活用法を見いだせていません。私たちが話していても、ユーザーのニーズを拾うことより「音声認識って儲かるの?」とマネタイズできるか心配している企業が多い。こうした企業に現状を伝えるために、我々もいろいろ活動しています。

──海外では、すでに成功事例はあるのでしょうか。

シュリラ:すでにマネタイズで成功しているケースは多くないですが、面白いサービスはたくさん登場していますよ。最近驚いたのは、グーグルの「Bolo」という子ども用の言語学習サービス。表示される文字を音読していて間違った発音があった場合、アプリがそれを指摘してくれるというものです。



マーケティングでいえば、P&Gが衣料用洗剤のリリースしたアマゾンエコー向けサービス「Tide」は面白いですよ。「ワインをこぼしちゃったんだけど、どうやってシミ抜きすればいい?」といった質問をすると、正しいやり方と、それに適した商品を教えてくれます。

国内で面白かったのは、「Diageo」。「Open the bar!」と呼びかけると、おすすめのカクテルレシピを教えてくれるので、自分がバーテンダーになったかのような気分を味わえます。もちろん、手元にないアルコールや割材を、アマゾンで注文することも可能です。



これから過激化する「音声検索でのSEO対策」


──先ほど、音声認識のビジネス利用はまだ先だとおっしゃっていましたが、企業は参入に向けてどのような点を強化すべきなのでしょうか。

渡辺:大きく分けて、「アマゾンエコーやSiriなどでの検索対策」と「自社での音声認識技術に対応したサービス開発」という2つの観点がありますね。

まず「検索対策」。ユーザーはSiriに「大学生が初めて購入するオススメのパソコンは?」や「この近くでオムライスを食べることができるお店は?」と尋ねた際に、狙いにピッタリ合ったブランドや店舗を紹介してくれることを期待しています。

そのためには、音声認識の検索精度が発展しなければならない一方で、各社は自社の商品や店舗が、「アレクサ(アマゾンエコーの搭載AI)」や「グーグルアシスタント(グーグルホームの搭載AI)」に取り上げられるよう対策しなければなりません。サイトに過不足なく情報を記載したり構造化したりといった「音声検索でのSEO対策」が重要になるということです。

一度に約10のサイトが表示される文字検索に対して、音声検索では「〇〇というお店がオススメです」というように、提示される情報数は少なくならざるを得ません。アマゾンでのよりよいセールスやグーグルマップからの効率的来な店を狙う飲食店などのあらゆる企業は、その1社に選ばれるよう過激なSEO対策をするようになるでしょう。

文=野口直希 写真=新國翔大

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