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「友人の結婚式ではすごく感動するんだけど、自分がやるとなると、人とは違うことをやりたい。具体的なイメージはないけれど、いい式をしたいと考える人がほとんどです。フォーマットにのっとって式を挙げても300万円かかるなら、少し多く出してでもフルオーダーメイドでやりたいと思ってくださる。さらに制限をかけて200万円でできたとしても決して安いものではないですからね」

だからこそ、新郎新婦のニーズを引き出し具現化するプランナーの力量が問われるわけだ。山川はその仕事を「人生を編集する作業」と表現する。

「30歳で結婚したとすれば、どんな人でも30分年の奥深い人生のドラマがあって、それを支えてきたキーマンが集まる。結婚式って、本来めちゃくちゃ面白いことができるはずなんです。CRAZY WEDDINGでは新郎新婦の人生を振り返りながら、伝えるべきポイントを一緒に抽出してコンテンツに落とし込みます。実際に30年分の歴史は親でさえ全てを知っているわけではなくて、ゲストが知らない時間をこのイベントを通して埋め合わせていくことで、今後の人生でのつながり方さえ変わっていくんです」

CRAZYの社員の5分の1は、CRAZY WEDDINGの利用者。同じ思想を持つ仲間が集まっている何よりの証だろう。「CRAZYの採用面接では最後に自分の人生をプレゼンする機会があります。自分の人生に対して何らかの覚悟がある人でなければ聞けないこと、さわれない部分があると思っていて。表面的なプランニングではなく、相手の人生を素晴らしいものだと思えるメンバーだけが集まっているんです」。

CRAZYがついに式場を作った


「IWAI」の内装(提供:CRAZY)

CRAZY WEDDINGは2月、はじめてのリアルスペース「IWAI OMOTESANDO」をオープンした。

山川は、「『会場がないこと』がCRAZYの魅力だったため、実は最初私も反対だったんです」と明かす。そんな中で、プランニングという一つの手法だけを追求することにも疑問を感じていた山川は「これまでのCRAZYを更新して、オーダーメイドじゃ届かない人に向かって新しい発明をしよう」と覚悟を決めたという。

「実際に式場を立ててみると、建築の持つパワーに驚きました。人が人を祝うという、原点に立ち返ったポリシーを掲げて『IWAI』と名付けました」

IWAI OMOTESANDOは、あくまでターゲットを広くする形で「ゲストに喜んでほしい」という普遍的なニーズに応えるためのミニマルな式場だ。会場の装飾も最低限とし、人と人のコミュニケーションから生まれる“温度感”が滲み出ることを目指している。

これまでケースごとに新郎新婦が望む結婚式をプロデュースしてきたCRAZYにとって、会場のフォーマットを決めるというのは思い切った選択だったという。それでも同じ結婚式はふたつと存在しない。そこには違う温度感・思想があるからだと山川は説明する。

文・写真=角田貴広

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