「ヘリヤーズ・ロード/ピーテッド 14年/2004年」
ピート香が好きでたまらない人たちのためのウイスキー。たとえば、ラフロイグ。強烈なまでにピート香が際立つあのウイスキーを愛飲する人たちに、愛される一品だろう。
このウイスキーを飲んで、他のウイスキーと間違うことはまずあり得ない。
グラスに注げば、すでにその香りの強さが鼻腔に感じられる。だがピートをもっとも感じるのは、口に含んでからだ。
果物や花の香りが混じった印象に加えて、スモーキーな風味も感じられた。「ヨーロッパ内の蒸溜所で作られたような気もすれば、外国産のようにも感じられるな」と考えていると、オーストラリアのタスマニア北部、バーニーにある「ヘリヤーズ・ロード蒸溜所」産のものだと打ち明けられた。遠い地で作られて、パリまで旅をしてきたウイスキーだと思うと、なおのこと印象深かった。テイスティング後には、葉巻を嗜んだような印象も残った。
こうしたテイスティングの場の魅力の1つは、誰もが自分の好みや印象を自由に表現しあえることだろう。「ラ・メゾン・デュ・ウイスキー」は毎年、ウイスキーをもっと身近なものにしてもらい、もっと知ってもらうために、「ザ・ウイスキークロニクル」というカタログを作っている。カタログといっても、蒸溜所案内からカクテルレシピまで、ウイスキーにまつわるあらゆる情報が掲載されたおしゃれな「雑誌」だ。
とくに最新第50版でユニークなのは、この店が選んだ約100のウイスキーを表現する「言葉集」が掲載されている点。実際のテイスティングコメントに使えそうな表現を学べて、なかなかうれしい。
ちなみに店の50周年を記念して、店の住所である「20 rue d’Anjou」をその名に冠した新シリーズを特別ラベルで作成したそうだが、残念なことに今回は試飲させてもらえなかった。
(原文)