カリスマファンドマネージャー「投資の作法」

経営者、ファンドマネジャーとして働く傍ら、明治大学の教壇に18年間立ってきた筆者。自身にとって「とても意味がある」と語る教育の現場で得たかけがえのないものとは。


過日、筆者が講義を受け持つ明治大学で、学生たちの試験問題の採点をしていた。その中でいくつかの回答を見てうれしくなった。

・ありがとうというのが一番の投資だと言われて、毎日コンビニの店員などにありがとうと言うようにしたら、毎日店頭に立っている外国人の店員が僕を見るとうれしそうにしてくれて、心が通うということを実感した。

・多くの経営者がお話がうまいのでお話がうまい人が経営者になれると最初の頃は思っていたが、実践と行動の数や経験や体験が真実の言葉になり、それが心を動かすのだとわかった。自分は話が下手でそれで自信がなかったけど、話すだけの体験が足りないだけだと思ったらかえって自信が持てた。

・マネジメントというのは人に対する関心なんだとわかった。

・さまざまな小さな選択肢の中の小さな決断の集合が今の自分であることがわかったし、将来もそうなんだとわかった。

ほかにもいろいろな感想があった。講義から何を感じ取り、何を学ぶかは、人それぞれだ。学生たちがその人なりに感じてくれ、それを今後の人生に活かすことができたら教師として本望である。

あと、試験を終えて退出するとき、消しゴムのカスを集めてそれをポケットにそっとしまい、机の上をきれいに片づけてから帰った学生がいたのもうれしかった。きっと、彼は試験が終わるたびにそうしているのだろうな。

さらにうれしかったのは、病気で体調が優れず、前半の頃の講義に出られなかった学生が、後半にかなりがんばって講義に出席し、試験までたどりついたこと。一生懸命に試験を受けているその姿を見て感動した。

私は18年間、明治大学で教員を務めてきた。月日が経つのは早いもので、来年は同大学で教え始めた年に生まれた子供たちが学生として入学してくる。

私が商学部で受け持つ「ベンチャーファイナンス」という講義は、9〜1月末の後期に開かれ、毎週水曜日の夕方5時10分〜8時30分である。この期間に行われる主な講義内容は、私の座学、ベンチャーキャピタリストや起業家を招いての特別講義、グループワーク、学生同士のディベート、企業研究、およびその社長による講義、といったものである。

文=藤野英人

VOL.29

「全力」とは自分の中のガラクタを総動員する...

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