ビジネス

2019.04.09 07:00

2019年はオフィス倍増──WeWork、日本市場で急成長のワケ

WeWork JapanのCEOのクリス・ヒル(写真=小田駿一)


WeWorkを部署単位で試験導入する企業も
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中でも注目すべきは、スタートアップやフリーランサーだけでなく、「エンタープライズ」と呼ばれる大手企業がこぞってWeWorkをサテライトオフィスとして活用していることだ。富士フイルム、丸紅、川崎重工業、SOMPOホールディングス(損害保険ジャパン)など、導入企業には錚々たる顔ぶれが並ぶ。

「私たちはどんな規模のビジネスにも門戸を開いていますし、日本でのニーズも海外とさほど変わらない」(ヒル氏)とのことだが、政府が推進する働き方改革がその追い風となったことは、疑う余地もないだろう。

企業内で働き方改革を推進するにあたり、一気に自社のオフィス環境を変えてテレワークなどに対応することは難しくても、モデルケースとしてWeWorkを一部部署に試験導入し、うまくいけば全社的に展開するといった「スモールスタート」も可能となる。実際、「どんなことができるのか」といった相談ベースの問い合わせも数多く寄せられているという。
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「今はまさに働き方のパラダイムシフトが起こっています。私たちがそれを発明したわけではありませんが、ある種、働き方を変える潮流に拍車をかける役割を担うことができたのは確かでしょう。GINZA SIX、東京スクエアガーデンといった一等地にある優れた施設のオフィスを、数百億円の売上を挙げる大企業はもちろん、事業を始めたばかりのフリーランサーも分けへだてなく利用することができる。それがこれまでにない交流を生み出しているのです」

コミュニティスペースは「センター・オブ・グラビティ(重力の中心)」と呼ばれ、まさに人を引きつける“引力”がある。パントリーには飲み放題のコーヒーや紅茶、ビールが用意され、ミーティングはもちろん、仕事後に歓談する様子も見受けられる。「ブレインストーミングルーム」と呼ばれる部屋では、スタンドデスク、スツール、そしてホワイトボードが設置され、アイデアを生みやすい環境を整備。プライバシーとセキュリティが保たれた個室や、“Work Hard, Play Harder”を体現するかのように、卓球台やプロ仕様のカラオケルームもある。

人々が適切な場所で混ざり合うようにレイアウトや導線が設計され、メンバー専用のアプリでは、全世界にあるWeWorkの各スペースやデスクを予約できるほか、メンバー同士のメッセージ機能やコミュニティイベント情報などをチェックすることができる。ハードとソフトの両面からコミュニティやクリエイティビティを活性化するような仕掛けが、至るところに施されているのだ。
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文=大矢幸世 写真=小田駿一

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