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ただ、アメリカ本国の方法論をそのまま移植するのではなく、ローカライズはつねに意識しているという。「WeWorkはアメリカのブランドですが、日本法人に在籍する本社からの人間は5%ほど。ほとんどが日本採用のスタッフです。フレームワークとしてはグローバルでも、実行はローカルで行う、というのが基本方針。GINZA SIXで最初に導入した掘りごたつも、ユニークな一例でしょう。

実は、それが非常に好評で、ニューヨークのオフィスにも導入する話も出ています。みんな“I love it!”と言ってくれています。そうやって、世界のさまざまなカルチャーを取り入れて、いいものはシェアしていく。それがWeWorkのやり方なのです」

日本人の多くは「つながりたがっている」

順風満帆に見えるWeWorkの日本進出だが、なぜこれほど短期間のうちに資金を投入し、日本市場へ積極的に注力しているのか。ヒル氏は日本人の特性に目を向ける。

「日本に来る前は、『日本人はシャイで遠慮がちで保守的で、プライベートな空間を好むもの』と言われていましたが、実際にWeWorkをオープンして感じるのは、他の国よりも増して、多くの人が“つながりたがっている”ということ。原宿のアイスバーグ拠点なんて特にクレイジーで、“世界で最もアクティブなコミュニティ”を形成しているように思えます。ある種、私たちがWeWorkという環境を作ったことで、日本人の中に眠っていた『つながることへの欲求』を解き放ったと言えるかもしれない。環境によって、人の行動も変わるのです」



アメリカ本国では新たに「The We Company」を設立して、傘下にシェアハウス事業「WeLive」や教育事業「WeGrow」など事業の多角化を進めるWeWorkだが、日本では「当面の間はWeWorkに『レーザー・フォーカス(最優先課題として注力)』する」とのこと。ヒル氏は「日本のどの都市にもWeWorkを求めるニーズはあるだろうが、まずは東京、横浜、名古屋、大阪、福岡の5都市にフォーカスしていきたい」としている。

1990年代半ば以降、急速に勢いを失ってきた日本企業だが、本来、「いいものはどんどん取り入れる」貪欲な好奇心と劇的な変化にも対応しうる順応性、改善を重ねる誠実さがあったからこそ、一時は世界で大きく存在感を示すことができた。その多くが自らの手で、更なるイノベーションへの糸口を見つけ出すことができなかったのはある種、皮肉にも見える。WeWorkが提示する働き方が、変革のきっかけになることを期待して、2019年も引き続き多くの企業が手を結ぶだろう。

文=大矢幸世 写真=小田駿一

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