ビジネス

2019.04.19 08:30

インドOYOの日本参入 「取り残されたホテル」の活路となるか

OYO創業者兼グループCEOのリテシュ・アガルワル氏(Getty Images)

OYO創業者兼グループCEOのリテシュ・アガルワル氏(Getty Images)

創業わずか6年にして、世界10カ国、500以上の都市でホテル・住宅事業を展開する「OYO Hotels & Homes」(以下「OYO」)。飛ぶ鳥を落とす勢いの世界第6位のホテルベンチャーが、満を持して日本のホテル業界へ参入する。

4月4日、OYOは日本の大手電気通信事業者ソフトバンクおよびソフトバンク・ビジョン・ファンドとの合弁会社「OYO Hotels Japan合同会社」(以下OYO Hotels Japan)の設立を発表した。

AIテクノロジーを用いたフランチャイズ方式で事業展開

OYOとは、先進的なテクノロジーを生かしたフランチャイズ方式により客室数を拡大する、インド発のホテルベンチャー。インド国内のみならず、中国やインドネシア、イギリスなど海外ホテル市場にも参入し、客室を展開している。

OYOの最大の特徴として、人工知能(AI)を用いた高い技術力が挙げられる。事業展開する地域の宿泊供給データを元に、AIが未来の宿泊需給を予測分析。分析結果に応じ客室料金を変動させることで、地域内での需給のミスマッチを最小化し稼働率を最大化させる、ダイナミックプライシングを実現している。

また、AIの機械学習を活用したホテルマネジメントシステムや収益管理システムなど、幅広いテクノロジーを提携先ホテル経営者へ提供することで、経営の効率化や収益性の改善などに貢献している。OYOのアプリを通じ予約した観光客が、サービスのクオリティーが統一されたホテルを手頃な価格で利用できる仕組みだ。

技術力だけでなく、その資金力もOYOの大きな強みだ。1万8000以上のホテルネットワークを擁し、Sequoia IndiaやLightspeed Indiaなど多くの投資家から資金調達をしている。今回、一緒に合弁会社を立ち上げるソフトバンクおよびソフトバンク・ビジョン・ファンドもOYOが資金調達をする大手投資家のひとつだ。

敷金・礼金・仲介手数料ゼロのOYO賃貸住宅サービス

そんなOYOの日本市場への最初のアプローチは、ホテル業界ではなく賃貸住宅市場への参入だった。今年3月、ソフトバンク傘下のヤフージャパンと合併会社を設立し、日本初のアパートメントサービス「OYO LIFE(オヨライフ)」を開始した。

物件探しから契約や支払いのインフラ整備、退去までの手続きのすべてをスマートフォン1つで行うことができ、利用者は敷金・礼金・仲介手数料ゼロで、家具・家電、Wi-Fi、公共サービス完備の物件を借りることができる。保証人や書類作成など、何かと手間の多い従来の賃貸手続きと大きく異なる、画期的なサービスが話題を呼んだ。
次ページ > 待ちに待ったホテル事業参入

文=大竹初奈

ForbesBrandVoice

人気記事