ボディ・ロールは上手にコントロールされていて、コーナーでは予想していたほど、傾かない。ステアリングは丁度よい重さが合って精確だ。制動力も期待通り。2つのエンジン・タイプを比べると、僕はガソリン・エンジンに軍配を挙げる。パワーの配分、洗練性、走りのコンビネーションがとても優れているからだ。
先代に比較すると、より軽くなったバネレートのおかげで乗り心地が格段と良くなり、直進性と高速での静粛性が良くなっている。もしイヴォークにガッツリ乗りたいなら、オプションのアダプティブ・サスペンションをお薦めしよう。
新イヴォークは、同ブランドの兄貴分、ヴェラールの室内デザインを受け継いでいるのがメリットだ。ハイテクで未来的な室内は、同セグメントでも一段上な雰囲気だ。
オプションで用意されたデュアル・コントロール・インフォテインメント・システムは、ちょっと反応がノロい気がしたが、それでも先代よりは改良されている。
今回の試乗は、けっこうハードにギリシャを横断する500kmの走行だったが、このSUVの性能と、ハンドリングの良さには公道でもオフロードでも感心した。
丘の急勾配、浅瀬、岩がゴツゴツした川床など、多彩なステージを含む過激なオフロードコースでは、僕はよく考えて、こういった路面で最高のトラクションと乗り心地が可能なテレイン・レスポンス2システムを選択。
坂登りと坂下りモードを使うと、新イヴォークは登り勾配でのスタートも達人クラス。下り坂でも、コントロールが維持されてゆっくりと降りることができる。新しくなったクリア・サイト・グラウンド・ビューのおかげで、岩場や縁石、タイムズ駐車場などではまるで運転席からボンネットを通して、前輪の位置と動きがレントゲンみたいにモニターに写る。この機能は広く歓迎されるはずだ。
ランドローバーにとって、このイヴォークは非常に重要なモデルだ。だからこそ、評判の良かったデザインを受け継ぎつつ、ハイライトとなる機能やこれまでに足りなかった点を改良。より成長し、乗り心地も向上し、もっと高級感が加わった。オンロードでもオフロードでも操作性が良くなったし、パワーも十分で高速走行での安定性にも感心した。
そして、これからどう電動化されていくのかが楽しみになってきた。あらゆる性能が向上したイヴォークは間違いなくブランドの魅力を上げている。ライバルのアウディQ3、ボルボXC40も、油断できないぞ!
国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>