「消費者」から「ファン」へ
もうひとつ、時代を読むうえで大切だと思うポイントをお伝えしておきます。
この何十年間かで「消費者」という存在が変わってきたということです。
もともと消費者はただの「コンシューマー」。つまり、消費するだけの人でした。次に「プロシューマ―」という、より生産に関わっていく存在になりました。
そしていま、マーケティングにおいていちばん重要だと言われているのが「ファンエコノミー」です。消費者を「ファン」として巻き込んでいって成長していく。そこがすごく重要だと言われています。
だから企業は「ストーリー」を伝えることがより大切になってきているのです。ファンエコノミーがうまく回っているのがアップルであり、シャオミといった会社でしょう。これからは、こうした「ファンエコノミー」がさらに重要になってくると考えています。
ただ、既存のファンエコノミーには最大の欠点があります。それは「初期から応援したファンにメリットがない」ということです。ここはすごく大きな問題です。
たとえばアップルは大成功しました。
ぼくも初期のころからめちゃくちゃ「ファン」なわけです。iPhone、MacBookなど、ほとんどのアップル製品を買ってきましたし、ほぼアップルのシステムの中で生きているようなものです。だからアップルの成功に、少なからず貢献してるはずです(笑)。
ただ、アップルが大成功して、世界一の時価総額になった。じゃあ、ファンであるぼくは……? 特に見返りはない。しかも、アップル用のゲームをつくるたびに30%もの「税金」を取られてしまう。これはやっぱりおかしいな、と思うのです。
人情のある商店だったら「ちょっと國光さん、昔からお世話になってるし、お得意さんだから25%でいいよ」となってもいいでしょう(笑)。しかしアップルでは、残念ながらそういうことは一切ありません……。
これはアイドルたちを売れないころから応援している人も同じでしょう。初期から応援していたファンにメリットがないのです。ここがファンエコノミーの最大の欠点です。
ということは、逆に言えば、初期から応援してくれたファンにもメリットがあるようにすると、よりファンエコノミーは加速するのではないでしょうか。
夢がみんなの「共有財産」になる世界へ
さて、前置きが長くなりましたが、ぼくらが考えている新時代のSNS。名前を「フィナンシェ」といいます。このSNSを通して実現したいのは、みんなで夢を実現する世界です。
自分の夢をかなえたい人と、他人の夢を応援したい人。その「夢」がみんなの「共有財産」になる。カーシェアやルームシェアならぬ「ドリームシェアリングサービス」なのです。
「夢を持つ人」と「ファン」がこの「フィナンシェ」というコミュニティで出会って、夢の実現に向けて一緒に歩んでいく。夢をかなえる人も、支援する人も、「夢」というものをみんなの共有財産として、一緒に豊かになっていける。そういう「ファンエコノミー」のプラットフォームです。
10代20代の若い世代は「物質的に豊かになる=人生が豊かになる」ではないことに、すでに気づいています。
そして、ここから10年間で起こることは容易に想像がつきます。物質・モノをつくる作業はすべてAIがやることになります。人間がやる必要はなくなる。
するとどうなるかというと、人間はめっちゃ暇になります(笑)。 いまの「働き方改革」なんかの次元ではなく、おそらく週休4〜5日になる。1日の労働時間も3~4時間以内になるでしょう。人はものすごく暇になるのです。
そこで、この「暇になった時間をどうやって有意義に過ごすか」が問題になってきます。どうやって、ありあまる時間を幸せに過ごせるか。そこが、人生の満足度につながっていく。