ビジネス

2019.04.07 15:00

ボッデガ・ヴェネタCEOが語る「新章の幕開け」

ボッテガ・ヴェネタ最高経営責任者(CEO)のクラウス=ディートリッヒ・ラース(写真=YAMA)

ボッテガ・ヴェネタ最高経営責任者(CEO)のクラウス=ディートリッヒ・ラース(写真=YAMA)

クラフツマンシップを活かしたレザーグッズで名を馳せ、目立つブランドロゴに頼らないディスクリート(控えめな)ラグジュアリーを体現しているイタリアンブランド、ボッテガ・ヴェネタ。新クリエイティブ・ディレクターを迎え、東京・銀座に新旗艦店をオープンするなど、積極的なマーケティング戦略に込めた思いを語る。


伊のクラフツマンシップをモードに昇華

2018年12月8日、東京は銀座・晴海通りにボッテガ・ヴェネタの新フラッグシップがグランドオープンした。メタルパネルを900枚以上組み合わせて作られたというファサードは、ボッテガ・ヴェネタの特徴であるイントレチャート(レザーのリボンを組み合わせる技法)そのものに見える。メタリックな建物はクールな印象だが、一歩、足を踏み入れると、インテリアには「NIPPON」が取り入れられている。

たとえば、折り紙から着想を得たという幾何学的な窓。“キョウトホワイト”という名の漆喰で塗られた壁。そして日本の樹であるタモにインスピレーションを得たという、直線的な木目の天然オーク材のフローリングや、日本産の安山岩の一種である鉄平石の床……


©Nacása & Partners Inc.

種々の和のエッセンスをとり入れながらも幾何学的でモダンな売り場のアクセントになっているのは、ボッテガ・ヴェネタのホームコレクションに加え、イタリアを代表するジオ・ポンティの椅子やジャンフランコ・フラッティーニによるアームチェアだ。イタリアと日本、両国の伝統をモダンに融合させた空間には、新鮮なレモンの樹の香りが漂う。

このようにナチュラルで上質な印象を与える店内は、メンズ&レディースのレディ・トゥ・ウエア(既製服)、シューズ、バッグ、レザーグッズ、アクセサリー、アイウェア、さらにホームコレクションが展開され、ボッテガ・ヴェネタのラグジュアリーな世界をすべて体感できる空間となっていた。

実は、昨年7月にクリエイティブ・ディレクターに就任したばかりのダニエル・リーによるファースト・コレクションが世界に先駆けて披露されたのは、東京である。旗艦店オープン、新クリエイティブ・ディレクターによる初の展示会と、一連のイベントに合わせて来日したCEO、クラウス=ディートリッヒ・ラース氏に話を聞く機会を得た。

ラース氏はカルティエ、ルイ・ヴィトン、クリスチャン・ディオールで上級職を歴任したあと、ヒューゴ・ボスの会長兼CEOとして実績を上げるなど、ラグジュアリービジネスの世界ではよく知られた一流の経営者である。

Forbes(以下F):ラースさんはそもそも、なぜラグジュアリービジネスに興味を持ったのでしょうか?

ラース氏(以下L):グローバルに展開するビジネスだからです。美というものをプロダクトにおとしこみ、それを世界的に普及させていくということに興味をもちました。同時にどのような形でローカルに落とし込んでいくのかも重要な課題となるのですが。
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写真=YAMA 構成=秋山都

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