出展社も来場者も2割減 今年のバーゼルワールドにみた「転換期」

2019年のバーゼルワールドにて

毎年春に開催される時計の国際見本市「バーゼルワールド」。今年も3月21日から26日の6日間行われた。1年の時計のトレンドがわかる見本市なので、世界各国からバイヤー、ジャーナリストのみならず、時計マニア、観光客も数多く訪れる。

もちろん今年もスタイルは変わらないのだが、スウォッチグループが出展取りやめ、さらに参加を見合わせたり別会場で新作発表を行うブランドが相次いでおり、少し様子が違うフェアになるのだろうと、開催前から例年以上に注目されていた。

出展社、来場者ともに2割減

メイン会場の1階は、フェアの中心的存在だったスウォッチグループが抜けたことで、やはり寂しい感じになっていた。同グループには、オメガ、ブレゲ、ブランパン、ハリー ウィンストン、グラスヒュッテ・オリジナル、ジャケ・ドロー、ロンジン、ラドー、ハミルトン、ティソといった時計ブランドが軒を連ねていたのだから、当然といえば当然のことなのだが。



スウォッチグループ最高経営責任者(CEO)であるニック・ハイエックは、出展中止の理由を「SNSをはじめとするネットメディアの普及により、見本市出展にかつてのようなPR効果はなくなった」と述べ、グループは同時期にチューリヒで小売店向けの展示会を開催している。

空いたスペースには、プレスセンターにレストラン、シャネルとベル&ロスのブース、それにグッチの別館が入った。それでも真ん中には大きな通路ができており、巨大グループが抜けた大きさを感じるのだった。

数年前までは出展数も多かったので、会場に入り切らず、テント村が隣接されていた。そこにもブランドがブースを構え賑わっており、メイン会場に入る前からお祭り的な雰囲気があったのだが、それも撤去され「バーゼルワールド」の閑古鳥ムードに拍車をかけていた。



ジェトロの発表によると、今年の出展社数は520社で前年より130社減(20%減)、来場者数は22%減の8万1000人だったそうだが、現地での体感では例年の70%、30%減くらいに感じられたのである。
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文=福留亮司

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