シカゴの商業不動産サービス企業、クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(Cushman & Wakefield)のデータからは、シリコンバレー以外の複数の都市が、特に不動産の観点から技術セクターでの地歩を固めていることが示された。
ソルトレークシティーの地位が密かに上昇
同社の最新の報告書「Spotlight on Tech Leasing(テック賃貸借契約にスポットライトを当てる)」では、ソルトレークシティーにおける昨年のテック関連の商用リースは国内第2位だった。また同市では、2018年に契約された主要な全商用リースのうち、テック企業が66%以上を占めていた。これは、サンフランシスコやシアトル、デンバーなどの確立されたテックハブよりも高い数字だ。
その一因は、賃料の手頃さにあるかもしれない。ソルトレークシティーの昨年の提示賃貸料は1平方フィート(約0.09平方メートル)当たり24.31ドル(約2700円)だった。これはサンフランシスコやシリコンバレーで要求される額よりもはるかに低い。しかし、クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドの首席エコノミストで応用研究部門長を務めるケン・マカーシーによると、それ以外にも要因はある。それは、同市のテック系人材と、ミレニアル世代の人口の増加だ。
不動産サービス企業CBREによると、ソルトレークシティーは米国の中でもミレニアル世代が特に密集している。住民の約21%は23~28歳で、米全体における割合13.9%と比べると大きな差がある。CBREはまた、上位のテック系人材が集まる都市としてソルトレークシティーを22番目に挙げている。
テック業界で地歩を固めているのはソルトレークシティーだけではない。クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドのデータからは、ボストンでもテックセクターが大きく成長していることが示されている。昨年、同市の主要な全商用リースの半分近くは技術系企業のものだった。
マカーシーは、人材とベンチャー投資資金にアクセスできることが同市の成長の主要因になっていると語った。「もちろん、マサチューセッツ工科大学(MIT)やハーバード大学が川の反対側のケンブリッジにあることも一因となっている」とマカーシー。
ボストンを拠点とする住宅用不動産ブローカー、マット・ドーランによると、テック業界での同市の隆盛は現場では明らかだ。
「市場に参入するテック業界の従業員のおかげで、大きな勢いがもたらされた」とドーラン。「ボストン発で成功を収めるテック系スタートアップは、結束が強い文化を持つことで知られている。1人が買うと数人がそれに続く。リピーターの購入者も5社ほどあった」