ビジネス

2019.04.05

歯をくいしばってひとつずつ 2人の「日本流」が世界に挑む

左から、ジェネシア・ベンチャーズジェネラルパートナーの鈴木隆宏と、VIP Plaza Group創業者兼CEOの金 泰成 (写真=平岩享)

金泰成(キム・テソン)は2013年9月、インドネシアでVIP Plaza Groupを創業した。会員数104万人、現地の1200に及ぶブランドを扱う、現地トップ3に入るファッション&ビューティーECモールを展開。18年には日本支社を立ち上げ、日本から全世界への越境EC事業を開始した。社員数160人のうち日本人3人と、まさにグローバルスタートアップだ。

鈴木隆宏は18年12月からジェネシア・ベンチャーズのジェネラルパートナーを務め、東南アジアでの投資実績、トラックレコードを持つ投資家。前職のサイバーエージェント・ベンチャーズ(現サイバーエージェント・キャピタル)時代の14年2月に投資をし、同社を支えてきた。


鈴木:出会いは、僕が前職在籍時の2011年。インドネシア拠点の立ち上げを行った時。当時、彼は楽天インドネシアの取締役で、たまたまオフィスが一緒。僕らは年齢も大学もオフィスも同じ。彼は楽天、僕は出資先のトコペディアで役員もしていたので、インドネシアのeコマース黎明期のライバルでもあり、友人でもありました。

キム:当時、僕らは25〜26歳。その頃、ジャカルタには、若手の日本人は僕らぐらい。本当に週に10回ぐらいご飯に行っていました。

鈴木:僕は起業家と出会ってから長く付き合いながら投資するスタイルで、投資基準は2つ。1つ目は誰もが言う市場規模。もう1つが経営者。具体的には「欲求のタンクが大きい」人です。

モテたい、金持ちになりたいという人は欲求のタンクが小さく、満たされると終わってしまうし、事業や組織がうまくいかなくなった時に折れてしまう。キムさんは、楽天インドネシアの立ち上げも行い、非効率がわかった上での起業で、欲求のタンクがいつまでも尽きなさそうなタイプ。打席に立ち続ける、戦い続けることで成功する経営者だと思ったので投資をしました。

キム:タンクではなくザルかもしれない(笑)。いくら入ってもたまらない。

鈴木さんとはゼロベースから一緒に会社を作っていきました。まず共同創業者探しから。そして、15年の資金調達時もとても助けていただきました。

インドネシアで外国人として事業をしていると、日々のオペレーションで大変なことが多い。「ドライバーが黒魔術にかかってお金をなくした」とか(笑)。当時は現地のファンドも、スタートアップ系のイベントもなく、投資家とのコネクションが構築できなかった時期。2週間の資金調達ツアーと称して、日本、韓国の投資家たちとつなげていただいたのはとても大きかった。
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文=山本智之 写真=平岩享

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