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98年にナレッジ・レボリューションをMSCソフトウェア社に2000万ドル(約22億円)で売却すると、バスザッキーはしばらく休みを取り、次に何をしたいかを考えた。そして、生徒たちが物理実験用のプログラムでやったことをヒントに、ナリッジ・レボリューションの技術担当副社長だったエリック・カッセルと「1年半以上部屋にこもり」、共同でロブロックスの初代バージョンを作りあげる。

「着手した当初から、我々は人々が一緒に何かを成し遂げる新たな類型のものを作ろうと考えていた」とバスザッキーは言う。「それはSNSのような友達や、ゲームのような没入型の3Dや、メディア企業のようなクールなコンテンツを含み、さらには組み立て玩具のような無限の創造物を持つものだった」。

今や、ロブロックスのプラットフォーム上では、毎月100万近い数のゲームが、400万人以上の開発者の手で創作されている。この若い開発者たちは、17年に4000万ドル(約44億円)近くを稼ぎ、18年にはその金額が7000万ドル(約77億円)を超える見込みだ。そしてロブロックスは、人気ゲームをもとにしたアクションフィギュアやプラスチック製の車といった玩具の製造も始めた。彼らはこの玩具販売の収入に関しても該当するゲームの開発者に分け前を与えており、17年中に100万ドル(約1億1000万円)の著作権料を支払った。

ロブロックスが次に狙うのは国際化だ。30カ国以上からユーザーを集めてきたが、言語は英語のみ、使用できる通貨は米ドルのみだった。しかし数カ月前にスペイン語版をリリースし、ブラジル系ポルトガル語版、フランス語版、ドイツ語版の制作も進めている。

急成長にもかかわらず、バスザッキーは、ロブロックスのベータ版を発表した頃と変わらず、今もヘビーユーザーたちと積極的に交流している。たとえ彼の名前は知られていなくてもだ。ある金曜日に行われたプレイヤー向けの社内ツアーで、女性ガイドが子どもたちにデイビッド・バスザッキーという名前を聞いたことがあるかと尋ねた。子どもたちは皆、首を横に振った。次にガイドはビルダーマン(ロブロックス上でのバスザッキーの名前)を知っているかと質問した。

「知ってる!」。一同は大きな声をあげた。


デイビッド・バスザッキー◎1989年に教育ITスタートアップを創業し、学生向け模擬実験プログラムを開発。ここで得たヒントをもとに、技術担当副社長だったエリック・カッセルとロブロックスを共同創業した。

文=アレックス・ナップ 写真=ティモシー・アーチボルド 翻訳=町田敦夫

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