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ロブロックス共同創業者兼CEO デイビッド・バスザッキー(写真=ティモシー・アーチボルド)

子どもたちの興味を引くゲームを、彼ら自身に作ってもらう。年間数千万ドルを稼ぐ新手の起業家集団を生んだプラットフォーム、それがロブロックスだ。


アレックス・ビネッロがロブロックスという名のウェブサイト上でゲームをプレーし始めたのは13歳の時だった。「ワーク・アット・ア・ピザ・プレース(ピザ屋でお仕事)」や「ダウンヒル・スマッシュ!(坂道でドカン!)」などのタイトルで遊ぶのがとても楽しかったことから、彼も自分なりのゲームを作ろうと思い立った。

11年後の今、彼はロールプレイングゲーム「ミープ・シティ」のクリエイターとなり、2018年7月には月間1500万人のプレイヤーを集めた。米フォーブス誌の推計によると、ビネッロはこの漫画風のゲームを16年に発表して以来、数百万ドルを稼いでいる。これまで一度もプログラミングを学習したことのない23歳の若者が、今や有給のクリエイティブ・ディレクターを雇い、6人のフリーランスを使ってゲームをアップデートさせているのだ。

「ロブロックスはとにかく僕の人生の一部だった」と彼は言う。「ロブロックスに育てられたという感じも少しするよ」。

カリフォルニア州サンマテオに本拠を置くロブロックスは、ゲームとソーシャルメディアを混ぜ合わせたようなプラットフォームだ。子どもを中心とするプレイヤーたちは、友達とチャットなどを交わしながら、何百万ものタイトルの中から好みのゲームを探すことができる。ただし、このゲーム会社のユニークな点は、ゲームの制作をビジネスにしていないことだ。同社は自分ならではのゲームを作ろうとする子どもたちに、単にツールとプラットフォームを提供しているのである。

何より感嘆するのは、ロブロックスが8〜12歳の子どもたちを新手の起業家の一団に変えたことだ。開発者はRobuxと呼ばれる仮想通貨の形で、ゲーム内の様々なアイテムや経験値に課金することができる。そして稼いだ仮想通貨を100Robuxにつき35セントのレートで現金に換えられる(プレイヤーは100Robuxを1ドルで購入する)。

「ロブロックスの開発者には、このプラットフォームで育った人々が大勢いる」と同社の共同創業者兼CEOのデイビッド・バスザッキーは言う。「そして彼らの多くが、今やこのプラットフォーム上で生計を立て始めている」。

プレイヤー自身の創造性こそが魅力

ロブロックスのルーツは、バスザッキーが1989年に創業したナレッジ・レボリューションという教育IT系のスタートアップにある。この会社が制作したプログラムの中に、バーチャルな傾斜路やてこ、滑車や投射物を使って物理学の模擬実験ができる二次元的なラボがあった。

これを生徒たちの間に広めた時、バスザッキーは思わぬことを発見した。生徒たちはこのプログラムのツールを使い、物理の教科書から遥かにはみ出したことをやり始めたのだ。彼らは車の衝突やビルの倒壊といった面白おかしい模擬実験を行っていた。

「プレイヤー自身の創造性のほうが、物理の教科書に書かれたことよりもよほど魅力的だった」と彼は言う。

文=アレックス・ナップ 写真=ティモシー・アーチボルド 翻訳=町田敦夫

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